肺炎の診断時にCRPを追加することは有用
2013年 05月 03日

読んでみてわかったのですが、論文の内容があまりにも難しすぎました。
Saskia F van Vugt, et al.
Use of serum C reactive protein and procalcitonin concentrations in addition to symptoms and signs to predict pneumonia in patients presenting to primary care with acute cough: diagnostic study
BMJ 2013;346:f2450 doi: 10.1136/bmj.f2450 (Published 30 April 2013)
目的:
肺炎の臨床症状や徴候に加えて選択した炎症性マーカーを使用することの診断精度を検証し、診断的ツールとして妥当かどうか調べる。
方法:
2007年から2010年までの間、12のヨーロッパのプライマリケアセンターでおこなわれた(GRACE-09 study [Genomics to combat Resistance against Antibiotics in Community-acquired LRTI in Europe; www.grace-lrti.org])。
参加者は成人で急性咳嗽を呈した者とし、コンサルト初日に病歴聴取、身体診察、血清CRP測定、血清プロカルシトニン測定をおこなわれ、7日以内に胸部レントゲンを撮影された。
肺炎は放射線科医によって診断され、臨床情報に関しては放射線科医には知らされなかった。
結果:
294人の医療従事者によって3106人の患者が適格基準を満たしたが、286人がデータ無・不適切な胸部レントゲンなどで除外された。28日死亡率はゼロで、11人の患者(0.5%)が入院を要した。
除外基準で省かれた残りの2820人(平均年齢50歳、40%が男性)のうち140人(5%)が肺炎を有していた。1675人の胸部レントゲンで観察者間一致をこころみたところ、94%で一致していた(Cohenの重み付き一致係数κ=0.45,95%信頼区間0.36 to 0.54)。6つの公表している"症状と徴候モデル"では、この判別性にばらつきがみられた(ROC曲線下面積:0.55 [95%信頼区間0.50 to 0.61] ~0.71 [0.66 to 0.76])。
われわれの患者における臨床的予測項目の組み合わせは、鼻汁がないこと、呼吸困難感の存在、cracklesや呼吸音減少などの聴診所見、100/分以上の頻脈、37.8℃以上の発熱でROC曲線下面積は0.70(95%信頼区間0.65 to 0.75)だった。Hosmer-Lemeshow検定は7.35(df=8, P=0.50)。
肺炎のある患者での平均血清CRP値は19 mg/L(日本では1.9mg/dL)であった。血清CRP値を臨床症状および徴候モデルに加えることで肺炎に対する多変量オッズ比は上昇した。追加的CRPのHosmer-Lemeshow検定は10.69(df=8, P=0.22)。カットオフ値30mg/L(日本では3mg/dL)でCRPを加えると、ROC曲線下面積は0.77 (95%信頼区間0.73 to 0.81)に改善した(Hosmer-Lemeshow検定9.67 [df=8, P=0.29])。

プロカルシトニンの測定は追加的診断情報に影響はもたらさなかった。

プライマリケアで急性咳嗽のある成人患者で、臨床症状、徴候に基づく臨床ルールは、軽症あるいは重症の所見がある患者で最良の診断的価値をもたらす。
2820人の急性咳嗽患者のうち胸部レントゲンで肺炎と診断されたのは140人(5%)だった。肺炎を予測する臨床症状や徴候は、鼻汁がないこと、呼吸困難感の存在、cracklesや呼吸音減少などの聴診所見、100/分以上の頻脈、37.8℃以上の発熱である。これらは肺炎低リスク患者あるいは高リスク患者を正しく同定することができる。さらに、血清CRPを測定することは肺炎を正しく除外するのに役立つ。プロカルシトニンには付加的価値はなかった。
by otowelt
| 2013-05-03 00:45
| 感染症全般