
Danka J. F. Stuijver, et al.
Use of Oral Glucocorticoids and the Risk of Pulmonary Embolism
A Population-Based Case-Control Study
CHEST 2013; 143(5):1337–1342
背景:
内因性のステロイド過剰は静脈血栓塞栓症(VTE)のリスク因子と考えられる。外因性のステロイド使用がVTEのリスクかどうかはまだわかっていない。われわれはステロイドを使用している患者の症候性の肺塞栓症(PE)のリスクを定量化した。
方法:
オランダの集団ベース薬局登録システム:PHARMO Record Linkage Systemによる症例対照研究を実施した。症例は4495人のPEで初回入院した1998年から2008年までの患者で、年齢・性別マッチした16802人のPEの既往のないコントロールを登録した。

結果:
平均年齢はいずれも60歳で、57%が女性だった。
PEのリスクは、ステロイド薬曝露から最初の30日に最も高かった(補正オッズ比5.9, 95%信頼区間 2.3-3.9)。また、1年超の長期使用者については、使用中はゆるやかにそのリスクは低下していった(オッズ比1.9、95%信頼区間1.3-2.9)。低用量ステロイド使用(プレドニゾン換算で1日用量5mg未満)は2倍のPEのリスク増加をもたらした(オッズ比1.8、95%信頼区間 1.3-2.4)。また、高用量(プレドニゾン換算で1日用量30mg超)は10倍のリスク増加をもたらした(オッズ比9.6、95%信頼区間 4.3-20.5)。

使用期間と使用量の層別化では、用量に関係なく直近でステロイド内服をはじめた患者でPEリスクは高かった。

経口ステロイド治療は、特にステロイド投与後初期1ヶ月の間でのPEのリスクを増加させるかもしれない。