ARTEMIS-IPF試験:IPFに対するアンブリセンタンは病勢増悪リスクを上昇
2013年 05月 11日

Ganesh Raghu, et al.
Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis With Ambrisentan: A Parallel, Randomized Trial
Ann Intern Med. 2013;158(9):641-649. doi:10.7326/0003-4819-158-9-201305070-00003
背景:
特発性肺線維症(IPF)は、線維芽細胞巣の形成と増殖に特徴づけられた進行性肺疾患である。エンドセリン-1は肺の線維芽細胞の増殖を誘導し、エンドセリンA(ETA)受容体を介して収縮機転をもたらす。
目的:
ETA受容体選択的アンタゴニストであるアンブリセンタンがIPF増悪の頻度を減少させるかどうか検証する。
方法:
ランダム化二重盲検プラセボ対照試験(ClinicalTrials.gov: NCT00768300)である。40歳から80歳までの胸部HRCT上蜂巣肺がほとんどないか全くないIPF患者を登録した。患者をランダムにアンブリセンタン10mg/日あるいはプラセボに割り付けた。疾患増悪(死亡、呼吸器系の入院、呼吸機能低下)までの期間を評価項目とした。
結果:
492人の患者を登録した。中間解析において効果に有益性がみられないと判断され、試験は早期中止となった。 アンブリセンタンで治療された患者はより病勢進行の基準に合致する患者が多かった(90人[27.4%] vs. 28人 [17.2%]; P = 0.010; ハザード比1.74 [95%信頼区間1.14 to 2.66])。
アンブリセンタン群の患者において呼吸機能の減少が55人(16.7%)に観察されたのに対し、プラセボ群では19人(11.7%)(P = 0.109)、呼吸器系の入院は前者44人(13.4%)、後者9人(5.5%)(P = 0.007)であった。アンブリセンタン群の26人(7.9%)の患者が死亡、プラセボ群では6人(3.7%)が死亡した(P = 0.100)。
アンブリセンタン群の32人(10%)およびプラセボ群の16人(10%)がベースラインに肺高血圧症を有しており、肺高血圧症による層別化解析でもプライマリエンドポイントは同様の結果だった。
結論:
アンブリセンタンはIPF治療において効果がみられず、それどころか疾患増悪のリスクや呼吸器系の入院を増加させる。
by otowelt
| 2013-05-11 14:08
| びまん性肺疾患