ATS2013:慢性緑膿菌感染を有する気管支拡張症に対してプロミキシンのネブライザー吸入が有効
2013年 05月 19日

C. Haworth, et al.
Multicenter Randomized Double Blind Placebo Controlled Trial Of Promixin (Colistin) Delivered Through The I-neb In Patients With Non-CF Bronchiectasis And Chronic Pseudomonas Aeruginosa Infection
ATS 2013, May 19, 2013, Mini Symposium
背景:
慢性緑膿菌感染は非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者のアウトカムの悪化と関連している。この試験では、プロミキシン(コリスチン)のネブライザー治療の評価をおこなう。
方法:
慢性緑膿菌感染をきたした気管支拡張患者がプロミキシン1MUおよびプラセボのネブライザー治療にランダムに割り付けされた。治療期間は1日2回6ヶ月とした。プライマリアウトカムは初回の急性増悪とし、セカンダリアウトカムは微生物学的検査、QOL(SGRQ)とした。
結果:
144人の患者(61人が男性)が登録され、平均年齢は59.3歳、平均一秒量は予測値の57%だった。73人がプロミキシン、71人がプラセボに割り付けられた。ITT解析では、急性増悪までの期間に統計学的に有意な差はみられなかった(プロミキシン165日; プラセボ111日)が、QOLは有意に差がみられ(p=0.006)、微生物学的定量でもlog10緑膿菌CFUがプロミキシンとプラセボで差がみられた(4週間後:-1.7 vs -0.3, p=0.001、12週間後:-1.6 vs -0.5, p=0.008)。
本吸入は在宅でおこなっているため、アドヒアランスによって試験成績に差が出る可能性が危惧されたため、ネブライザーにアドヒアランスを測定できる装置をつけた。おおむね80%以上のアドヒアランスが得られた患者はプロミキシン54人、プラセボ54人であり、これらを解析すると、急性増悪までの期間はそれぞれ168日、103日で有意に差がみられ(p=0.028)、QOLやlog10緑膿菌CFU にも差がみられた。
結論:
慢性緑膿菌感染を有する非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者に対してプロミキシンのネブライザ―吸入は有効である。
by otowelt
| 2013-05-19 23:02
| 感染症全般