ATS2013:慢性サルコイドーシスに対してウステキヌマブおよびゴリムマブはプラセボと比べても効果が乏しい
2013年 05月 19日
ウステキヌマブとゴリムマブに関するポスター発表が2つありました。どちらも同じグループからの発表です。
M.A. Judson, et al.
Safety And Efficacy Of Treatment With Ustekinumab Or Golimumab In Patients With Chronic Sarcoidosis
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session
R.P. Baughman, et al.
Efficacy Of Treatment With Ustekinumab Or Golimumab In Patients With Chronic Skin Sarcoidosis,
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session
背景:
サルコイドーシスは、インターロイキン12やTNF-αなどの前炎症性サイトカインを分泌する非乾酪性肉芽腫によって特徴づけられる原因不明の全身性の肉芽腫性疾患である。75%の患者で肺に病変がみられ、後遺症を残すことなく多くの患者が寛解するが、およそ30%は慢性サルコイドーシスとなる。ウステキヌマブ(ステラーラ®)およびゴリムマブ(シンポニー®)は、それぞれインターロキン12p40およびTNF-αに作用するヒトモノクローナル抗体であり、慢性期の徴候や症状を軽減させる可能性が期待されている。
方法:
ステロイドなどの薬物治療をおこなっても症状が持続する慢性肺サルコイドーシス患者132人、慢性皮膚サルコイドーシス患者58人を本試験に登録した。これらの患者を、ウステキヌマブあるいはゴリムマブあるいはプラセボにランダムに割り付けた。登録された患者はステロイドを16~28週間の間で漸減していくよう規定された。プライマリエンドポントは%予測努力性肺活量の変化、6分間歩行距離、St George’s Respiratory Questionnaire (SGRQ)、28週時のSkin Physician Global Assessment (SPGA) 反応性がみられた患者割合とした。
結果:
16週時で、統計学的に有意ではないがベースラインからの%予測努力性肺活量の差が観察された:ウステキヌマブ(−0.15, p=0.13)、ゴリムマブ(1.15, p=0.54)、プラセボ(2.02)。28週時にも、統計学的に有意差はみられなかった。SPGA反応性はゴリムマブ治療によってプラセボより多くみられた(53% vs 30%)。両治療群ともにプラセボよりステロイド漸減量が多く達成できた。
28週を通して、有害事象に3群間差はみられなかった。
結論:
ウステキヌマブおよびゴリムマブは忍容性があるが、いずれも本試験では肺サルコイドーシスに効果はみられなかった。しかしながら、ゴリムマブはある程度皮膚サルコイドーシスに効果がある可能性が示唆された。
by otowelt
| 2013-05-19 23:35
| サルコイドーシス