ATS2013:特発性器質化肺炎は肺胞腔内にフィブリン沈着が高度である場合に再発しやすい
2013年 05月 19日


R.L. Kradin, et al.
Intralveolar Fibrin Predicts Clinical Relapse In Patients With Cryptogenic Organziing Pneumonia
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session
背景:
特発性器質化肺炎(COP)はステロイドに反応性のあるよく経験する間質性肺炎である。しかしながら、COP患者の中にはステロイド抵抗性であったりステロイド漸減中に再発する症例も存在する。
方法:
われわれは、初期6ヶ月に再発することを予測できるかもしれない因子を同定するべく、COP患者の臨床的、放射線学的、病理学的特徴を調べた。
マサチューセッツ総合病院病理部において診断された86人の器質化肺炎患者を登録した。このうち、膠原病によるもの、薬剤によるもの、その他何らかの原因が示唆されるものは除外した。レトロスペクティブに28人の患者について、臨床的データ、呼吸機能検査、放射線学的特徴、ステロイド治療後の再発の有無などを調べた。生検検体ではリンタングステン酸・ヘマトキシリン(PTAH)染色によってフィブリンの沈着の有無が形態計測学的に解析された。硝子膜形成がみられる検体は除外した。
結果:
肺胞腔内にフィブリン沈着が高度(多数のフィブリン沈着領域がある、あるいは生検検体内に0.2cmを超えるフィブリン領域がある)である場合、沈着が少ない場合と比較すると臨床的にCOPの再発が多かった (p=0.027)。この所見は、COPの再発に対する感度75% (95%CI 36-96)、特異度75% (95% CI 51-90)、陽性適中率55%、陰性適中率88%だった。年齢、性別、喫煙歴、合併疾患、酸素飽和度では再発の予測は差がみられなかった。フィブリンが高度沈着しているCOP患者では、1秒量およびDLCOが低下していた(p=0.04)。放射線学的に再発が確認されたすべての患者では肺領域の3つにコンソリデーションがみられ、一方で1~2の肺領域に再発した患者は一人もいなかった。
結論:
COPに対するステロイド治療後の再発は、フィブリン沈着が肺胞腔内に高度に沈着する例に多くみられる。COPにおけるフィブリンの存在は微小血管障害を示唆するもので、間質性肺疾患の急性増悪と同様に予後不良因子として有用かもしれない。生検検体の中にフィブリンが多く沈着しているCOPの症例では、ステロイドの漸減はゆるやかに行う方がいいかもしれない。
by otowelt
| 2013-05-19 23:37
| びまん性肺疾患