ATS2013:中等度の気管支喘息に対するチオトロピウム吸入は吸入ステロイド薬への上乗せ効果がある
2013年 05月 19日

逆風の中でのチオトロピウム・レスピマット®の演題です。メインはあくまで吸入ステロイド薬に対する上乗せ効果についてです。
K.M. Beeh, et al.
Tiotropium In Asthma: A Dose-Finding Study In Adult Patients With Moderate Persistent Asthma,
ATS 2013, May 19, 2013, Thematic Poster Session
背景:
912人の患者を組み込んだ1年におよぶ長時間作用型抗コリン薬・チオトロピウム(レスピマット® 5μg)の臨床試験では、吸入ステロイド薬(ICS)および長時間作用型β2刺激薬を使用しても軽快しない症状持続型の重度の気管支喘息に対して有意に重度発作を減らし呼吸機能を改善させた。この試験では、中等量のICSにチオトロピウムを上乗せすることの効果と安全性を検証した。
方法:
この第II相二重盲検ランダム化プラセボ対照クロスオーバー試験では、登録喘息患者をランダムに4週間の治療に割り付けた。治療は、チオトロピウム(レスピマット製剤)3用量(1.25μg、2.5μg、5μg)、プラセボとした。プライマリ効果エンドポイントはFEV1peak(0~3h)とし、セカンダリエンドポイントはFVCpeak(0~3h)、トラフFVCpeak(0~3h)、FEV1曲線下面積(FEV1AUC(0~3h))、トラフFEV1とした。
結果:
149人の患者がランダム化され、141人が試験を終えた。平均年齢は49.3歳で、平均の気管支拡張薬吸入前のFEV1は2.236Lだった。チオトロピウム3用量すべてにおいて統計学的に有意なプラセボとのFEV1peak(0~3h)の差がみられた(p<0.0001)。最も効果がみられたのは5μgの用量だった。セカンダリエンドポイントの呼吸機能の解析でもプライマリエンドポイントと一致する結果が得られた。FVC反応の著明な改善がチオトロピウム群で確認された。

全ての治療において忍容性は問題なかった。全体での副作用についても治療群すべてで同等であった。最もよく見られた副作用は、喘息発作、鼻咽頭炎だった。
結論:
チオトロピウムは、中等度の遷延性気管支喘息患者においてICSに上乗せが可能な、効果的で安全な気管支拡張薬である。最も効果がみられたのは、チオトロピウム・レスピマット®5μgの用量である。
by otowelt
| 2013-05-19 23:53
| 気管支喘息・COPD