ATS2013:肺炎患者において過剰な水分バランスはアウトカムを不良にする

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P.C. Hou, et al.
Positive Fluid Balance Worsens Clinical Outcomes For Hospitalized Pneumonia Patients
ATS 2013, May 19, 2013, Thematic Poster Session


概要:
 心不全、腎不全、ARDS、敗血症性ショックのある重症患者での水分バランス過多はアウトカムを悪化させることがわかっているが、入院肺炎患者において水分バランスについて検証されたことはない。われわれは、初期治療6時間における水分バランスの過剰がおよぼす影響について検証した。この試験では、多施設共同観察コホート研究のサブ解析データを用いた。単変量解析で、水分バランス過剰の場合に人工呼吸器を要する急性呼吸不全や院内死亡率が上昇した (p < 0.001)。多変量解析では水分バランス1L以下と3L超では有意に差がみられた。肺炎患者に対する初期治療における水分バランスの過剰は人工呼吸器管理を要する急性呼吸不全の頻度や院内死亡率を上昇させる。これはARDS患者においても同様の結果であり、厳密な輸液管理によって利益を享受できる患者群がどのような集団か、今後の研究が明らかにしてくれるかもしれない。
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by otowelt | 2013-05-19 23:33 | 集中治療

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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