ATS2013:特発性肺胞蛋白症における全肺洗浄は吸入GM-CSF治療よりも再発リスクが高い
2013年 05月 21日

M.E. Wylam, et al.
Inhaled Granulocyte-Macrophage Colony-Stimulating Factor Versus Whole Lung Lavage In Pulmonary Alveolar Proteinosis
ATS 2013, May 20, 2013,Thematic Poster Session
背景:
特発性肺胞蛋白症(iPAP)はGM-CSF抗体の形成に特徴づけられた肺疾患である。全肺洗浄に対する吸入GM-CSF治療の比較効果についてはまだよくわかっていない。このレトロスペクティブコホート試験ではiPAP患者に対してこの比較をおこなった。
方法:
ミネソタ州のメイヨークリニックにおける21歳以上のiPAP患者を1990年1月から2011年8月まで同定した。患者背景、臨床データ、放射線学的データ、呼吸機能データ、特異的治療内容、治療反応性を抽出した。Cox回帰モデルによって、全肺洗浄後あるいは吸入GM-CSF治療後の疾患再発について比較した。
結果:
55人の患者がiPAPと診断され、平均年齢は42.8 ± 11.7歳だった。28人の患者が全肺洗浄を受け、15人の患者が吸入GM-CSF治療単独、1人の患者がGM-CSF皮下注、10人の患者は全肺洗浄と吸入GM-CSF治療を併用した。1人の患者は特異的治療を受けなかった。
ベースラインの患者特性は、全肺洗浄単独群と吸入GM-CSF治療単独群で有意差はおおむねみられなかった(DLCOのみ前者が低かった)。再発率はGM-CSF治療群で47%で、全肺洗浄群で65%だった。初回再発までの中央期間は全肺洗浄群で0.8年(0.4-2.8年)、吸入GM-CSF治療群で2.2年(0.8-5.8年)だったが、統計学的に有意差は確認されなかった(P=0.31)。Cox回帰分析により診断時年齢、性別、疾患重症度スコアで調整した場合、吸入GM-CSF治療と比較すると全肺洗浄は高い疾患再発率と関連していた(ハザード比3.26, 95%信頼区間 1.04-12.43)。
結論:
吸入GM-CSF治療と比較すると、全肺洗浄は再発リスクが高く早期に再発がみられる傾向にあった。
by otowelt
| 2013-05-21 01:00
| びまん性肺疾患