ATS2013:胸水中ADAが100IU/Lを超える場合、結核性胸膜炎は考えにくい
2013年 05月 22日

これはすばらしい報告です。
P. Lazo Meneses, et al.
Very High Level Of Adenosin Deaminasa (ADA) In Pleural Effusions, Uncommon In Tuberculosis
ATS 2013, May 21, 2013, Poster Discussion
背景:
胸水中のADA値の上昇は強く結核性胸膜炎の存在を示唆するものである。実際、胸水中ADAが35IU/Lを下回る場合、感度も特異度も90%を超えるとされている(否定材料になりうる)。しかしながら、ときに胸水中ADAが著明に高値である症例に出合うことがある。結核性胸膜炎において、胸水中ADAの上限値はどのように考えればよいだろうか。
目的:
1.胸水中ADAが著明に高い症例を同定し、どういった疫学が最も考えられるのか調べる。
2.胸水中ADAが高値である場合、結核性胸膜炎を除外できるかどうかを調べる。
方法:
1994年から2011年10月までの間、2413人の連続した胸水患者を登録した。年齢、性別、検査前診断、リスク因子、胸水量、胸水性状、排液量、胸水pH、胸水中生化学検査、血清生化学検査、胸水細胞分画、胸水細胞診、胸水中微生物学的検査が調べられた。全ての症例で最終的な診断、生検、治療反応性、アウトカムを検証した。
結果:
2413人のうち2221人で胸水中ADAの数値が解析された。1391人(62.6%)は男性で830人(37.4%)が女性だった。平均年齢は65歳だった。166人(7.47%)が結核性胸膜炎、478人(21.5%)が悪性胸水、280人(12.6%)が悪性腫瘍随伴性胸水、77人(3.46%)が腹水関連胸水、188人(8.46%)が心原性胸水、20人(0.9%)が結合組織病関連胸水、59人(2.65%)が膿胸、70人(3.15%)が悪性リンパ腫関連胸水、259人(11.6%)が肺炎随伴性胸水、205人(9.23%)が特発性胸水だった。
胸水中ADAが100IU/Lを超えるものとしては、膿胸59人中20人(33.89%)、悪性リンパ腫関連胸水70人中10人(7%)、結核性胸膜炎166人中6人(3.75%)だった。
結論:
1.胸水中ADAが著明に高値の場合、リンパ増殖性プロセス、癌関連、膿胸などが考えやすい。
2.ADAが100IU/Lを超える場合、結核性胸膜炎の診断は考えにくい(3.75%の症例のみ)
by otowelt
| 2013-05-22 02:28
| 抗酸菌感染症