ATS2013:特発性肺線維症におけるPINPOINT治療の有効性
2013年 05月 21日

P.N. Chhajed, et al.
Outcome Of Combined Pirfenidone, Proton Pump Inhibitor And N-Acetylcystein (PINPOINT) In IPF: Preliminary Results
ATS 2013, May 21, 2013, Poster Discussion
目的:
ピルフェニドン、N-アセチルシステイン、プロトンポンプ阻害薬(PPI)は特発性肺線維症(IPF)に有用であるとされてきた。しかしながらこれらを併用して用いる治療(PINPOINT治療)はこれまで検証されたことがない。われわれはIPFにおけるPINPOINT治療の忍容性とアウトカムを調べた。
方法:
54人のIPF患者を登録した。そのうち30人はPINPOINT治療を診断時から開始した(グループA)、残りの24人はすでにIPFの診断がついており他の治療を受けた状態からPINPOINT治療を開始した(グループB)。ピルフェニドンは200mg1日3回の治療から開始し、最大用量を1800mgと規定した。パントプラゾール/エソメプラゾールは1日40mgから開始、N-アセチルシステインは1日1800mgから開始した。プレドニゾロンを内服している患者は漸減するようにした。IPF急性増悪は過去の報告に準じた(AJRCCM 2007;176(7):636. )。
結果:
症状発現から診断まで平均期間は8.6ヶ月だった。PINPOINT治療において肝機能障害をきたした患者はいなかった。
グループAの30人は平均年齢64歳(男14人、女16人)、ベースラインの平均SpO2は95%、一秒量1.44L、努力性肺活量1.56Lだった。6人の患者は在宅酸素療法を受け、1人はBiPAP治療を受けていた。平均ピルフェニドン用量は17mg/kg/日で、平均値は1009mgだった。副作用は6人に観察された(皮膚症状3人、消化器症状4人、睡眠障害1人、灼熱感1人)。ピルフェニドンは6人(20%)が副作用のため中止した。5人(17%)の患者がIPF急性増悪をきたした。4人(13%)は死亡した。PINPOINT治療の中央投与期間は3ヶ月(1~60ヶ月)であった。
グループBは平均年齢が61歳(男6人、女18人)で、ベースラインの平均SpO2は93%、一秒量1.21L、努力性肺活量1.32Lだった。5人の患者は在宅酸素療法を受けており、2人がBiPAP治療を受けていた。平均ピルフェニドン用量18mg/kg/日で、平均値は950mgだった。副作用は5人にみられた(消化器症状2人、皮膚症状2人、動作緩慢1人)。ピルフェニドンは4人(16%)が副作用のため中止した。6人(25%)の患者がIPF急性増悪をきたし6人(25%)が死亡した。PINPOINT治療の中央投与期間は13ヶ月(4~61ヶ月)であった。
結論:
IPFにおけるPINPOINT治療は忍容性がある。早期からPINPOINT治療を導入することでIPF急性増悪を減少させることができるかもしれない。
by otowelt
| 2013-05-21 21:48
| びまん性肺疾患