
・ATS2013:リファンピシンの妥当な用量は?
AJRCCMから、マウスにおける高用量リファンピシンの報告です。ちなみに、リファンピンとリファンピシンは同じです。前者がアメリカ表記で、後者が国際表記だと認識しています。
Jurriaan E. M. de Steenwinkel, et al.
Optimization of the Rifampin Dosage to Improve the Therapeutic Efficacy in Tuberculosis Treatment Using a Murine Model
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 187, No. 10 (2013), pp. 1127-1134.
背景:
リファンピンの用量10 mg/kg/日は現在結核治療に用いられている用量であるが、適切な用量設定というわけではない。リファンピンの用量を増加させることで、治療期間の短縮が可能になるかもしれない。
目的:
副作用のない最大効果の得られるリファンピンの用量をマウスにいて同定すること。
方法:
北京株の肺結核に感染したマウスを用いた。3週間にわたるリファンピンの単剤治療の用量依存性効果を観察した。イソニアジドとピラジナミドのレジメンにリファンピンを上乗せする形で最大効果の用量範囲を調べた。
結果:
結核に感染したマウスにおける忍容できるリファンピンの最大用量は、160mg/kg/日であった。イソニアジドとピラジナミドとの併用で、リファンピン10mg/kg/日の場合および160mg/kg/日の場合で、Cmax16.2、157.3 mg/Lであり、AUC0–24hは132、1,782 h·mg/L、AUC0–24h/最小阻止濃度 比は528、7129であった。感染再発がなく効果的なレジメンとして、9週間のHRZ(リファンピン用量80mg/kg/日)の投与が挙げられる。
結論:
結核診療において現在使用されているリファンピンの用量は低すぎると考えられる。マウスの実験では、リファンピン80mg/kg/日は副作用を増加させることなく治療期間を短縮できる結核治療効果が得られるものと推察される。