ATS2013:重度の気腫に対する気管支鏡的肺容積減量コイル(LVRC)は短期的・長期的にも有効

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肺容積減量コイルの発表を2つ紹介します。



 発表の中で「このように低侵襲である治療法は、COPDという世界でも罹患者が多い疾患には早急に適応されるべきである」とランス大学病院呼吸器内科のGaetan Deslee教授は述べました。

G. Deslee, et al.
Lung Volume Reduction Coil (LVRC) Sustained Treatment Effectiveness In Heterogeneous And Homogenous Emphysema
ATS 2013, May 20, Poster Discussion


概要:
 肺容積減量コイル:Lung Volume Reduction Coil (LVRC, PneumRx Inc.)は気管支鏡的におこなえる重症気腫性病変に対するデバイスである。3つのヨーロッパの多施設においてこの効果と安全性について検討した。109人の患者(平均年齢61歳)を登録し、LVRCによる治療を両肺に実施し6ヶ月および12ヶ月後のパラメータを検証した。281の手技において2081のLVRCが留置された(平均1葉あたり9.5)。重篤な有害事象は30日の時点で、13人のCOPD急性増悪(6%)、1人の血痰(0.5%)、9人の肺炎(5%)、9人の気胸(4%)が観察されたが、死亡や呼吸不全などの重篤なものは観察されなかった。6ヶ月後、12ヶ月後の効果については以下の通りであった。一秒量の上昇を維持:+15.4%、+15.2%、残気量軽減を維持:-10%、-10.3%、6分間歩行距離の上昇を維持: +47.5m、+53.6m、QOLの改善を維持(SGRQ):-10.9点、-11.4点(すべてp<0.0001、12ヶ月後の一秒量のみp<0.0004)。


イタリアからの同様の発表がありました。こちらは少し症例数、コイル手技ともに数が少ない報告です。

M. Bezzi, et al.
First Results Of The Italian National Registry For The Endoscopic Treatment Of Pulmonary Emphysema By Lung Volume Reduction Coils
ATS 2013, May 20, Poster Discussion


概要:
 20ヶ月にわたる期間で32手技(287コイル)を26人の患者でおこなった(ベースライン一秒量[予測値]23.9 ± 7.5%、残気量[予測値]236.9±48%、全肺気量[予測値]128.9±20%)。20人の患者が一側の治療(19人が上葉、1人が下葉)、6人が両側上葉の治療を受けた。平均手技時間は41分だった。26人中23人が軽度の血痰を最初の1週間で経験しており、2人が重篤な喀血を呈した。その他、気胸1人、肺炎4人、COPD急性増悪6人、胸痛2人などが観察された。治療後1ヶ月で、残気量[予測値]の有意な軽減(ベースライン236.9±48% vs 治療後214.5±60%, p=0.01)がみられたが、全肺気量[予測値]に変化はなかった(ベースライン128.9±20% vs 治療後125.3±19%)。そのほか、6分間歩行距離(ベースライン241±76 m vs 治療後280±92 m, p= 0,03)、一秒量[予測値](ベースライン23.9±7.5% vs 治療後27.9±9%, p=0,003)も改善した。治療3ヶ月後の14人の解析では、一秒量や残気量がベースラインに戻りつつあるような傾向にあったが、6分間歩行距離は維持していた。


by otowelt | 2013-05-21 09:20 | 気管支鏡

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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