ATS2013:抑うつのあるCOPD患者ではインターロイキン6が重要な役割を持つ
2013年 05月 23日

H.C. Strollo, et al.
Systemic Inflammation Associated With Depression In COPD Independent Of Airflow Obstruction Severity
ATS 2013, May 22, Mini Symposium
背景:
抑うつはCOPDの重要な合併症である。COPDに関連した全身性の炎症は、COPDとその合併症にとって潜在的な介在因子と考えられている。抑うつとインターロイキン6といったバイオマーカーなどの関連性についてはまだよくわかっていない。
方法:
ピッツバーグ大学のSCCORコホートにおいて450人の喫煙者にBeck Depression Inventory (BDI) (score ≥ 10は抑うつありと定義)を受けてもらい、本試験に登録した。またSGRQスコア、UCSD息切れアンケートを登録者は受けた。気管支拡張薬投与後の呼吸機能検査、胸部CT検査による半定量的visual emphysema score、血清インターロイキン6(ELISA)が検査された。
結果:
登録者は235人が男性(37人が抑うつあり)、215人が女性(49人が抑うつあり)、平均年齢65.3歳、平均BMIは28.0だった。GOLD分類では、Gold 0 (43.6%), GOLD 1 (15.6%), GOLD 2 (26.9%), GOLD 3/4 (7.1%), GOLD分類不能(6.9%)だった。単変量解析では、BDIは有意に一秒量(%予測値)の低下およびインターロイキン6の上昇と関連(抑うつあり:2.428 pg/ml ± 3.30、抑うつなし:1.790 pg/ml ± 1.82)していた。またBDIは高いSGRQスコア、UCSDスコアとも関連していた。年齢、BMIはBDIとは有意に関連していなかった。ステップワイズ回帰では低い一秒量(%予測値)は最も抑うつ症状の増加と関連していた(p=0.0031)。

抑うつのあるCOPD患者において血清インターロイキン6は上昇している。これらの結果は全身性の炎症バイオマーカーがCOPDの抑うつに関連していることを示唆するものである。
by otowelt
| 2013-05-23 00:50
| 気管支喘息・COPD