ATS2013:非小細胞肺癌における外科手術の人種差
2013年 05月 22日

経済的な事情もあるのでしょうが、臨床試験に対する人種差の原因がもしこういった点にあるのであれば、外科治療だけでなく化学療法も含めた研究を行う場合、注意が必要かもしれません。
J. Adusumalli, et al.
Racial Disparities In Treatment Of Non Small Cell Lung Cancer In The US
ATS 2013, May 21, Thematic Poster Session
背景:
外科手術は非小細胞肺癌(NSCLC)の主要な治療である。この試験では、NSCLC患者に対して初期に行われた外科手術の人種差について調べる。
方法:
国立がんデータベース:National Cancer Data Base (NCDB)において、NSCLCに対して治療を受けた患者を3種の人種に分類した。すなわち、白人、アフリカンアメリカン、ヒスパニックの3種類である。χ2検定によって解析した。
結果:
2000年から2010年までの間、120万955人の患者がNSCLCと診断された。そのうち97万5229人が診断初期に治療を受けた(82%の白人、79%のアフリカンアメリカン、76%のヒスパニック)(p<0.001、全比較)。
外科手術は、stage Iでそれぞれ78%、73%、82%、stage IIで64%、56%、67%受けた(p<0.001、全比較)。stage IIIの患者ではアフリカンアメリカンは白人やヒスパニックと比較して手術を受ける頻度が少なかった(アフリカンアメリカン16% vs 白人22%; p<0.001、vs ヒスパニック21%; p<0.001)。
結論:
NSCLCにおける手術治療を受ける頻度には人種差がある。アフリカンアメリカンの患者は白人やヒスパニックに比べて手術を受ける頻度が少ない。
by otowelt
| 2013-05-22 07:44
| 肺癌・その他腫瘍