ATS2013:プロトンポンプ阻害薬は特発性肺線維症の生存期間を延長、DDAH阻害メカニズムが関与か
2013年 05月 22日

L. Ho, et al.
Proton Pump Inhibitors Inhibit DDAH And Improve Survival In Idiopathic Pulmonary Fibrosis
ATS 2013, May 22, Mini Symposium
概要:
胃食道逆流(GER)の治療によって特発性肺線維症(IPF)の生存が改善する可能性が示唆されている。しかしながら、そのメカニズムについては不明である。われわれはスタンフォード大学医療センターに登録された間質性肺疾患の患者からレトロスペクティブにIPF患者を同定した。患者は5年間フォローアップされた。患者はプロトンポンプ阻害薬(PPI)を投与した群とそうでない群に分類された。合計132人の患者のうち、87人がPPI投与群、45人が非投与群に分類された。解析の結果、無移植生存率はPPI群で有意に高かった。平均生存期間はPPI群3.4年、非PPI群1.9年であった(p<0.001)。PPI治療は非補正および補正Cox回帰分析によるIPFの5年生存率の独立因子であった(ハザード比=0.557, p=0.021)。PPIはジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ(DDAH)を阻害し、一酸化窒素合成代謝を調節し、TGF-βによるコラーゲン発現を抑制することがわかっている。この結果、IPFの生存期間が延長したのではないだろうか。
by otowelt
| 2013-05-22 22:11
| びまん性肺疾患