REDUCE試験:COPD急性増悪における5日間の短期的全身性ステロイドは14日間に非劣性

REDUCE試験:COPD急性増悪における5日間の短期的全身性ステロイドは14日間に非劣性_e0156318_13254455.jpg 自著(「寄り道」呼吸器診療)の中で、2011年のコクランレビュー(Walters JA, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2011 Oct 5;(10):CD006897.)を加味して、「COPD急性増悪に対する全身性ステロイドは10日程度が妥当か」と書いた後にREDUCE試験が発表されました。短い方がベターである点は賛成です。

Jörg D. Leuppi, et al.
Short-term vs Conventional Glucocorticoid Therapy in Acute Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
The REDUCE Randomized Clinical Trial
JAMA. 2013 doi:10.1001/jama.2013.5023.


背景:
 国際的ガイドラインでは、COPDの急性増悪時の経口ステロイド(プレドニゾロン30~40mg)は7~14日間投与することが支持されている。しかしながら、適切な用量や治療期間は不明である。

目的:
 COPD急性増悪に対する短期的な全身性ステロイド(5日間)が非短期間(14日間)の治療に非劣性であることを検証する。

方法:
 2006年3月~2011年2月にCOPDの急性増悪でスイスの5施設の救急部を受診した314人が登録された。患者はプレドニゾロン40mg/日の5日間投与群あるいは14日間投与群にランダムに割り付けられた。いずれも初回ステロイド投与は静注でおこない、2回目以降は経口で薬剤が投与された。5日間群では6日目以降にプラセボが使用された。非劣性条件を5日間群におけるCOPD再増悪の頻度が65%を超えないこと、許容限界値のハザード比1.515と設定。プライマリエンドポイントは、180日以内のCOPDの増悪とした。

結果:
 試験期間中に、314人中289人(92%)が入院した。311人がITT解析、296人がper protocol解析の対象。
 ITT解析における5日間群の14日間群に対する180日以内のCOPD増悪のハザード比は0.95(90%信頼区間0.70~1.29、p=0.006)、per protocol解析におけるハザード比は0.93(90%信頼区間 0.68~1.26、p=0.005)だった。これは非劣性の範囲内であった。
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 5日間群および14日間群の180日以内の推計COPD増悪頻度はそれぞれ37.2%(95%信頼区間29.5~44.9%)、38.4%(95%信頼区間30.6~46.3%)だった。
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 死亡までの期間、増悪または死亡、およびこれらの混合アウトカムについては両群で差は観察されなかった。
 高血糖や高血圧などの治療関連有害事象に有意差はなかった。

結論:
 COPD急性増悪患者に対する5日間の全身性ステロイド治療は、14日間の治療に比べ180日以内のCOPD再増悪について非劣性だった。


by otowelt | 2013-05-23 13:29 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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