日中の傾眠はサルコイドーシスの全身症状の1つである

日中の傾眠はサルコイドーシスの全身症状の1つである_e0156318_11333269.jpg サルコイドーシスの一症状としての傾眠を論じた報告です。

Karen C. Patterson, et al.
Excessive Daytime Sleepiness and Obstructive Sleep Apnea in Patients With Sarcoidosis
Chest. 2013; 143(6):1562-1568.


背景:
 サルコイドーシスにおいて全身症状はよくみられるものであり、QOL低下と関連している。日中の過度の傾眠:Excessive daytime sleepiness (EDS)は、しばしば閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と関連しているが、サルコイドーシスの独立した全身症状であるかもしれない。このスタディの目的は、サルコイドーシスとEDSの関連を調べることである。

方法:
 本試験はシカゴ大学で行われたレトロスペクティブ試験である。われわれは62人の成人サルコイドーシス患者および1005人のOSAを疑われポリソムノグラフィ目的に来院した成人患者において、エプワース睡眠スケール(ESS)を比較した。線形回帰モデルによって共変数を調整した。
 また、抑うつに関してCenter for Epidemiologic Studies Depression Scale (CES-D)を用いて比較した。
 サルコイドーシス患者のサブルグープ解析では、睡眠スコアおよびポリソムノグラフィは呼吸機能検査の正常/異常によって比較された。

結果:
 患者背景において、EDSおよびESSはサルコイドーシス患者で高かった。EDS:サルコイドーシス:34人(60%)、コントロール患者:413人(43%)、p=0.012、ESS:前者:11人(IQR 8-14)、後者:8人(IQR 5-12)、p=0.011。
CES-Dに差はみられなかった(p=0.781)。EDSはサルコイドーシス患者にはよくみられる症状であり、共変数の調整後においてもサルコイドーシスは傾眠の独立因子であった。完全に共変数で調整をしても、サルコイドーシス患者においてESSの2点上乗せの作用がみられた(モデル3)。
日中の傾眠はサルコイドーシスの全身症状の1つである_e0156318_129635.jpg
・モデル1:年齢、性別、人種、AHI(AHIの自然対数)で調整
・モデル2:上記にBMIを追加
・モデル3:上記に抑うつ症状の存在、オピオイドの使用を追加

 ポリソムノグラフィ目的で来院したコントロール患者と比較すると、サルコイドーシス患者では臨床的に明らかなOSAは少なかった(AHI平均値はサルコイドーシス患者:15.6点 vs コントロール患者:26点,p=0.002)。しかしながらサルコイドーシス患者のうち、呼吸機能検査で異常のあるものはOSAがより重度であった。

結論:
 サルコイドーシスは独立してEDSと関連している。傾眠はサルコイドーシスの病態に寄与しているかもしれない。サルコイドーシス患者における呼吸機能検査の異常はOSAに寄与しているかもしれないが、そのメカニズムは不明である。


by otowelt | 2013-06-14 00:42 | サルコイドーシス

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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