
いずれにしても、結核・NTM診療に携わる呼吸器科医にとってはきわめて重要な報告だと思います。
Hsing S-C, et al.
Increased risk of pulmonary tuberculosis in patients with previous non-tuberculous mycobacterial disease
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 17, Number 7, 1 July 2013 , pp. 928-933(6)
目的:
非結核性抗酸菌症(NTM)の感染後に肺結核のリスクが増加するかどうか調べること。
デザイン:
212人のNTM患者、4240人のコントロール症例を用いた1:20のレトロスペクティブコホート試験。診断はICD-9コードによっておこなわれた。
結果:
ベースラインの患者背景として、脳卒中、COPD、肝硬変はコントロール症例に多くみられた。またHIV感染はNTM患者に多くみられた。
過去にNTM感染を持つ患者は有意に肺結核になる頻度がコントロールよりも多かった(罹患率比[IRR] 14.74, 95%信頼区間8.71–24.94, P <0.0001)。NTM関連肺結核は、Cox比例ハザード解析で補正ハザード比は10.15(95%信頼区間 5.67–18.17, P < 0.05)であった。ほとんどの結核症例(23人中17人:73.9%)はNTMの診断から6ヶ月以内に診断されていた。

65歳以上の高齢(補正ハザード比4.45, 95%信頼区間1.94–10.22, P < 0.05)、男性(補正ハザード比1.75, 95%信頼区間1.01–3.13, P <0.05)、HIV感染(補正ハザード比12.49, 95%信頼区間 3.20–48.79, P < 0.05)、COPD(補正ハザード比4.46, 95%信頼区間2.19–9.10, P < 0.05)はNTM感染後に肺結核を発症する独立リスク因子であった。肺結核の累積罹患率についても、NTM感染後のほうがコントロールより多かった(P < 0.0001)。しかしながら、2つのコホートにおいて生存率に有意な差はみられなかった。
結論:
NTM感染後に肺結核の発症頻度は高くなる。HIV感染は、肺結核を続発する最も高い独立リスク因子であった。