日本の慢性過敏性肺炎の60%が鳥関連過敏性肺炎
2013年 06月 20日
昨年のATSで発表された日本からの報告です。慢性過敏性肺炎(CHP)は疾患概念自体に議論の余地がある分野で、診断自体が困難を極めます。
Okamoto T, et al.
A nationwide epidemiological survey of chronic hypersensitivity pneumonitis in Japan
Respiratory Investigation, in press, doi:10.1016/j.resinv.2013.03.004
背景:
1999年におこなわれた日本国内の慢性過敏性肺炎(CHP)のサーベイによれば、夏型過敏性肺炎がもっとも多かった。近年CHPの症例報告が増えており、臨床的特徴は変化している。われわれはCHPの頻度や臨床的特徴をより推定できるように日本国内で新たなサーベイをおこなった。
方法:
日本国内でアンケートを送付し、CHPと診断された症例を2000年から2009年まで抽出した。CHPの診断基準は、抗原回避による症状改善 and/or 抗原再吸入による症状増悪 and/or 吸入抗原に対する抗体、病理学的あるいは胸CTにおける線維化、過敏性肺炎による症状が6ヶ月以上あるものとした。
結果:
222例のCHP症例が22病院から登録された。疾患サブタイプは、鳥関連過敏性肺炎(鳥飼病)(134人)、夏型過敏性肺炎(33人)、自宅型過敏性肺炎(25人)、農夫肺(4人)、イソシアネート誘発性過敏性肺炎(3人)、その他(23人)だった。
鳥関連過敏性肺炎の症状は、発熱13%、咳嗽76.2%、喀痰30%、呼吸困難感72.9%だった。fine cracklesは92.8%、ばち指は25.7%にみられた。その他のサブタイプの症状は以下の表の通り(文献より引用)。 (SHP:夏型過敏性肺炎、HRHP:自宅型過敏性肺炎、FL:農夫肺、IHP:イソシアネート誘発性過敏性肺炎)
気管支肺胞洗浄液中のリンパ球比率中央値は24.5%と高かった。イソシアネート誘発性過敏性肺炎や農夫肺では特にリンパ球増多は顕著だった。登録症例での呼吸機能検査において、%DLCOは55.9%だった。
胸部CTにおける頻度の高い所見は、スリガラス影(85.7%)、小葉間隔壁肥厚(60.8%)、蜂巣肺(41%)だった。 (文献より引用)
また93人の外科的肺生検検体が得られた症例において、小葉中心性線維化(74.5%)が主要な病理学的所見だった。 (文献より引用)
生存期間中央値は83ヶ月だった。サブグループにおける差は観察されなかった。 (文献より引用)
結論:
鳥関連過敏性肺炎は過去の疫学的サーベイと比較して頻度が多くなった。一方で、イソシアネート誘発性過敏性肺炎や農夫肺の頻度は少なかった。
Okamoto T, et al.
A nationwide epidemiological survey of chronic hypersensitivity pneumonitis in Japan
Respiratory Investigation, in press, doi:10.1016/j.resinv.2013.03.004
背景:
1999年におこなわれた日本国内の慢性過敏性肺炎(CHP)のサーベイによれば、夏型過敏性肺炎がもっとも多かった。近年CHPの症例報告が増えており、臨床的特徴は変化している。われわれはCHPの頻度や臨床的特徴をより推定できるように日本国内で新たなサーベイをおこなった。
方法:
日本国内でアンケートを送付し、CHPと診断された症例を2000年から2009年まで抽出した。CHPの診断基準は、抗原回避による症状改善 and/or 抗原再吸入による症状増悪 and/or 吸入抗原に対する抗体、病理学的あるいは胸CTにおける線維化、過敏性肺炎による症状が6ヶ月以上あるものとした。
結果:
222例のCHP症例が22病院から登録された。疾患サブタイプは、鳥関連過敏性肺炎(鳥飼病)(134人)、夏型過敏性肺炎(33人)、自宅型過敏性肺炎(25人)、農夫肺(4人)、イソシアネート誘発性過敏性肺炎(3人)、その他(23人)だった。
鳥関連過敏性肺炎の症状は、発熱13%、咳嗽76.2%、喀痰30%、呼吸困難感72.9%だった。fine cracklesは92.8%、ばち指は25.7%にみられた。その他のサブタイプの症状は以下の表の通り(文献より引用)。
気管支肺胞洗浄液中のリンパ球比率中央値は24.5%と高かった。イソシアネート誘発性過敏性肺炎や農夫肺では特にリンパ球増多は顕著だった。登録症例での呼吸機能検査において、%DLCOは55.9%だった。
胸部CTにおける頻度の高い所見は、スリガラス影(85.7%)、小葉間隔壁肥厚(60.8%)、蜂巣肺(41%)だった。
また93人の外科的肺生検検体が得られた症例において、小葉中心性線維化(74.5%)が主要な病理学的所見だった。
生存期間中央値は83ヶ月だった。サブグループにおける差は観察されなかった。
結論:
鳥関連過敏性肺炎は過去の疫学的サーベイと比較して頻度が多くなった。一方で、イソシアネート誘発性過敏性肺炎や農夫肺の頻度は少なかった。
by otowelt
| 2013-06-20 00:25
| びまん性肺疾患