HIACE試験:高用量N-アセチルシステインはCOPD患者の末梢気道機能を改善、急性増悪の頻度も減少
2013年 07月 04日
Hoi Nam Tse, et al.
High-Dose N-Acetylcysteine in Stable COPD: The 1-Year, Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled HIACE Study
Chest. 2013; 144(1):106-118.
背景:
N-アセチルシステイン(NAC)の去痰効果とアンチオキシダント作用はCOPDの治療に大きな価値があるかもしれない。しかしながら、NACの用量不足や不適切なアウトカム設定のためか、その効果は臨床試験で確実性は証明されていない。このスタディの目的は、高用量のNACと通常のCOPD治療が中国人患者に有効かどうかを検証することである。
方法:
1年におよぶHIACE試験(The Effect of High Dose N-acetylcysteine on Air Trapping and Airway Resistance of Chronic Obstructive Pulmonary Disease—a Double-blinded, Randomized, Placebo-controlled Trial)は、香港の光華病院で行われた50~80歳のCOPD患者を対象にした高用量NAC(600mg1日2回)とプラセボを比較した二重盲検試験試験である。
呼吸機能パラメータ、症状、修正MRC息切れスケール、SGRQスコア、6分間歩行距離、急性増悪率、入院率を16週ごとに1年まで追跡した。
結果:
133人の患者がスクリーニングされ、120人が適格基準を満たした(93.2%が男性、平均年齢70.8 ± 0.74歳、%1秒量53.9 ± 2.0%)。ベースラインの患者特性は両群とも同等であった。GOLD分類は2~3がほとんどで、これらが70%以上を占めた。およそ半数の患者はCOPD以外の合併症を有していた。
治療1年次において、高用量NAC群はプラセボと比較して有意にFEF25-75%(肺活量25~75%での平均努力呼気流量)を改善させた(P = .037)。しかしながら、1秒量や努力性肺活量は治療16週目および1年次のいずれにおいても改善しなかった(1秒量:P=0.2, 0.7、努力性肺活量:P=0.69, 0.42)。
高用量NACはCOPD急性増悪の頻度を減少させた(0.96回/年 vs 1.71回/年, P = .019)。
また、高用量NACは入院率も減少させる傾向がみられた(0.5回/年 vs 0.8回/年, P = .196)。そして、合計入院日数を有意に減少させた(p=0.08)。
修正MRC息切れスケールやSGRQスコア、6分間歩行距離に差はみられなかった。NACによる副作用は報告されなかった。
結論:
この試験では、安定期COPD患者における高用量NACの1年間の治療は、有意に末梢気道機能を改善させ急性増悪の頻度を減少させた。
by otowelt
| 2013-07-04 00:03
| 気管支喘息・COPD