慢性過敏性肺炎で抗原が同定できなければ生存期間が短い
2013年 07月 25日

Evans R, et al.
Identifying an Inciting Antigen is Associated with Improved Survival in Patients with Chronic Hypersensitivity Pneumonitis
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.12-2685
背景:
過敏性肺炎に対する疑わしい抗原の同定はしばしば困難をきわめる。
目的:
慢性過敏性肺炎(CHP)における抗原の同定が、生存に影響を与えるかどうか検証すること。
方法:
CHP患者の患者背景および抽出した臨床的データから、抗原の同定が生存におよぼす影響を調べた。Cox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比を算出した。
結果:
抗原が同定できた患者(67人)と同定できなかった患者(75人)では、抗原が同定できた患者では年齢が若かった(p=0.01)。それ以外の臨床的パラメータ(呼吸機能、胸部HRCTでの線維化所見)は同等であった。
一方、生存した患者と死亡した患者の2群で比較すると、生存した患者の多くは抗原が同定できていた(66%)。しかしながら、死亡した患者の68%は抗原が同定できていなかった(p < 0.01)。また生存した患者ではCHPによる胸部HRCT上の線維化が少なかった(21% vs 50%, p < 0.01)。
多変量解析では、患者年齢(ハザード比1.04、95%信頼区間1.01~1.07、p=0.005)、過去の喫煙歴(ハザード比2.01、95%信頼区間1.15~3.50、p=0.014)、抗原が同定できなかったこと(ハザード比1.76、95%信頼区間1.01~3.07、p=0.046)、FVC%(ハザード比1.36、95%信頼区間1.10~4.35、p=0.004)、肺線維症(ハザード比2.43、95%信頼区間1.36~4.35、p=0.002)が生存を短くする有意なリスク因子であった。

Kaplan-Meier曲線では、抗原の同定できた患者の生存は有意に延長していた。肺線維化のない場合、さらに生存的な利益が得られた。

結論:
CHPにおける抗原同定は生存期間を有意に変える独立因子である。抗原を同定し、回避することが肝要と考えられる。
by otowelt
| 2013-07-25 00:12
| びまん性肺疾患