日本人のサルコイドーシス患者では喫煙率が高い
2013年 08月 01日
日本のサルコイドーシス患者の喫煙歴に着目した素晴らしい論文です。個人的にもとても興味深いです。
Hattori T, et al.
An increased prevalence of cigarette smoking in Japanese patients with sarcoidosis
Respirology, in press.
背景および目的:
いくつかの試験によれば、サルコイドーシスを有する西洋の患者は診断前の喫煙率が低いとされている(Thorax 1986; 41: 787-91、Thorax 1988; 43: 516-24、Am J Respir Crit Care Med 2004; 170: 1324-30)。ACCESS試験(Am J Respir Crit Care Med 2004; 170: 1324-30)ではサルコイドーシス患者の喫煙率は10%と報告されている。近年のケースコントロールスタディにおいても12.2%と報告されている(Int Arc Allergy Immunolo 2011; 157: 281-7)。一方で、サルコイドーシスの疫学的特徴は日本人と西洋人で異なることが知られている。しかしながら、日本におけるこれらのデータは存在しない。
そのため、われわれはこの日本人のサルコイドーシス患者のレトロスペクティブコホート試験において、喫煙歴とサルコイドーシスの関連を調べた。
方法:
2000年から2008年までの間に日本の札幌市でサルコイドーシスと新規に診断された388人の患者をレトロスペクティブに試験へ登録した。日本の喫煙率の参照データとして、2つの大規模サーベイの結果を用いた。
既往喫煙者を除外したのちに、現喫煙者と非喫煙者におけるサルコイドーシスに特異的な臨床所見を比較した。
結果:
サルコイドーシスの患者のうち、男性は有意に女性よりも年齢が低かった(中央値:32歳 vs 53歳, P < 0.001)。また、肺実質のサルコイドーシスの病変は男性の方が有意に多かった(P = 0.042)。無症状での胸部画像上異常がみられた症例が38%であった。
サルコイドーシスが診断された時点で喫煙をしている患者の比率は男性で59.6%、女性で27.9%だった。30代の男性を除くと、喫煙率は一般的な日本人のそれと比較してすべての年齢層で高かった。肺実質のサルコイドーシスの病変は非喫煙者よりも現喫煙者の方が高い傾向がみられた(オッズ比1.33 [95%信頼区間0.99-1.77], P = 0.054)。 (文献より引用)
結論:
このレトロスペクティブコホート試験では、日本人のサルコイドーシス患者は西洋人での報告よりも高い喫煙歴であった。日本人の集団では、喫煙とサルコイドーシスの関連性が西洋と異なる可能性が示唆される。
Hattori T, et al.
An increased prevalence of cigarette smoking in Japanese patients with sarcoidosis
Respirology, in press.
背景および目的:
いくつかの試験によれば、サルコイドーシスを有する西洋の患者は診断前の喫煙率が低いとされている(Thorax 1986; 41: 787-91、Thorax 1988; 43: 516-24、Am J Respir Crit Care Med 2004; 170: 1324-30)。ACCESS試験(Am J Respir Crit Care Med 2004; 170: 1324-30)ではサルコイドーシス患者の喫煙率は10%と報告されている。近年のケースコントロールスタディにおいても12.2%と報告されている(Int Arc Allergy Immunolo 2011; 157: 281-7)。一方で、サルコイドーシスの疫学的特徴は日本人と西洋人で異なることが知られている。しかしながら、日本におけるこれらのデータは存在しない。
そのため、われわれはこの日本人のサルコイドーシス患者のレトロスペクティブコホート試験において、喫煙歴とサルコイドーシスの関連を調べた。
方法:
2000年から2008年までの間に日本の札幌市でサルコイドーシスと新規に診断された388人の患者をレトロスペクティブに試験へ登録した。日本の喫煙率の参照データとして、2つの大規模サーベイの結果を用いた。
既往喫煙者を除外したのちに、現喫煙者と非喫煙者におけるサルコイドーシスに特異的な臨床所見を比較した。
結果:
サルコイドーシスの患者のうち、男性は有意に女性よりも年齢が低かった(中央値:32歳 vs 53歳, P < 0.001)。また、肺実質のサルコイドーシスの病変は男性の方が有意に多かった(P = 0.042)。無症状での胸部画像上異常がみられた症例が38%であった。
サルコイドーシスが診断された時点で喫煙をしている患者の比率は男性で59.6%、女性で27.9%だった。30代の男性を除くと、喫煙率は一般的な日本人のそれと比較してすべての年齢層で高かった。肺実質のサルコイドーシスの病変は非喫煙者よりも現喫煙者の方が高い傾向がみられた(オッズ比1.33 [95%信頼区間0.99-1.77], P = 0.054)。
結論:
このレトロスペクティブコホート試験では、日本人のサルコイドーシス患者は西洋人での報告よりも高い喫煙歴であった。日本人の集団では、喫煙とサルコイドーシスの関連性が西洋と異なる可能性が示唆される。
by otowelt
| 2013-08-01 00:10
| サルコイドーシス