肺ブルセラ症の臨床的検討
2013年 08月 07日

Hakan Erdem, et al.
RESPIRATORY SYSTEM INVOLVEMENT IN BRUCELLOSIS: THE RESULTS OF THE KARDELEN STUDY
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0240
背景:
ブルセラ症における呼吸器系の病変はまれな合併症である。われわれは、肺ブルセラ症の患者の臨床的特徴を記載した。
方法:
10年におよぶレトロスペクティブ試験において、トルコの27施設でブルセラ症で呼吸器系の病変を有した患者を登録した。適格基準は、1.呼吸器症状を有すること、2.放射線学的に呼吸器系の病変を指摘できること、3.ブルセラを直接あるいは間接的に証明できること、標準試験管凝集反応は1:160以上のタイターであること。
結果:
肺ブルセラ症133人のうち、67人が男性、123人(92.5%)が急性感染症(2ヶ月以内のものと定義)を呈した。有症状期間(±SD)は平均33.9日(±8.5日)だった。
肺病変の放射線学的パターンは、コンソリデーション/大葉性肺炎が91人(68.4%)にみられ、胸水は41人(30.8%)にみられた。また、30人(22.5%)がその両方を有していた。さらに、23人(17.3%)の患者は気管支炎(1人は肺炎も合併)、10人(7.5%)は肺結節影(1人は肺炎と胸水を合併)を有していた。
血液培養は119人のうち56人で陽性であった。喀痰検体はすべて陰性で、胸水検体を採取された19人中2人(10.5%)でブルセラ症の診断がついた。
骨関節病変といったほかのブルセラ症の特徴は61人(45.9%)にみられ、59人(44.4%)は肝トランスアミナーゼが上昇、59人(44.4%)は血小板減少を呈していた。15人(11.3%)の患者はICUの管理を要した(平均3.8日入室)。全患者は標準的な抗菌薬併用療法(ドキシサイクリン+リファンピシン)をブラセラ症に対しておこない、死亡者はいなかった。しかし、7人で抗菌薬の変更調整が必要であった。

結論:
呼吸器に病変をきたすブルセラ症はまれだが、適切な抗菌薬によって良好な予後を得ることができる。肺ブルセラ症考慮すべき病歴、臨床的特徴、ベースラインの血液検査は数多くあるため参考にしてもらいたい。
by otowelt
| 2013-08-07 11:05
| 感染症全般