6分間歩行試験のときは「可能な限り速く歩いて下さい」と指導する方がよい
2013年 09月 04日
6分間歩行距離は、多くの臨床試験のサロゲートマーカーとして使用されていますが、検査精度自体がとても悪く、その日の気分によって簡単に数十mくらい差が出てしまいます。多くの患者さんは初回の6分間歩行距離はとても長いのですが、フォローアップの3~4回目になると“手を抜いて”しまいます。それを病状の悪化と捉えるのは間違いです。
Nargues A. Weir, et al.
The Influence of Alternative Instruction on the Six Minute Walk Test Distance
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0287
背景:
6分間歩行試験(6MWT)は患者に“可能な限り遠くまで”歩くことができるかどうかを調べる機能的試験である。患者に6MWT施行時におこなう指導が検査パフォーマンスにもたらす影響は不明である。
方法:
肺動脈性肺高血圧症(PAH)、特発性肺線維症(IPF)、他の間質性肺疾患(ILD)の患者を本試験に組み込んだ。標準的な指導法である“可能な限り遠くまで歩いて下さい”という指導法の以外に、“可能な限り速く歩いて下さい”、“あなたの好きなペースで歩いて下さい”、“急がずゆっくり歩いて下さい”という指導法のいずれもに割り付けた。
結果:
24人の患者(PAH:10人、IPF:8人、ILD:6人)が登録され、全員4セットの6MWTを完遂した。患者は、“可能な限り速く歩いて下さい”と指導された場合に最も長い距離を歩行することができた。これは、標準的な指導法と比較して平均差で+52.7mだった(P<0.001)。サブグループ解析では、PAH患者では平均+41.5m、IPF患者では平均+66.5m、ILD患者では+53m改善した。 (文献より引用)
ディスカッション:
より遠くまで歩くことを求められた場合、それを達成する手法は個々で異なってしまう可能性が否めない。しかしながら、より速く歩くことを求められた場合、結果として6分間歩行距離は最大歩行距離とほぼ等しい関係になる。
結論:
アメリカ胸部疾患学会(ATS)が推奨する6MWTの標準的手法では、患者は遠くまで歩かないだろう。指導法として、“可能な限り遠くまで歩いて下さい”の代わりに、“可能な限り速く歩いて下さい”という声かけを行うことで、より遠くまで歩く努力をするものと考えられる。
Nargues A. Weir, et al.
The Influence of Alternative Instruction on the Six Minute Walk Test Distance
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0287
背景:
6分間歩行試験(6MWT)は患者に“可能な限り遠くまで”歩くことができるかどうかを調べる機能的試験である。患者に6MWT施行時におこなう指導が検査パフォーマンスにもたらす影響は不明である。
方法:
肺動脈性肺高血圧症(PAH)、特発性肺線維症(IPF)、他の間質性肺疾患(ILD)の患者を本試験に組み込んだ。標準的な指導法である“可能な限り遠くまで歩いて下さい”という指導法の以外に、“可能な限り速く歩いて下さい”、“あなたの好きなペースで歩いて下さい”、“急がずゆっくり歩いて下さい”という指導法のいずれもに割り付けた。
結果:
24人の患者(PAH:10人、IPF:8人、ILD:6人)が登録され、全員4セットの6MWTを完遂した。患者は、“可能な限り速く歩いて下さい”と指導された場合に最も長い距離を歩行することができた。これは、標準的な指導法と比較して平均差で+52.7mだった(P<0.001)。サブグループ解析では、PAH患者では平均+41.5m、IPF患者では平均+66.5m、ILD患者では+53m改善した。
ディスカッション:
より遠くまで歩くことを求められた場合、それを達成する手法は個々で異なってしまう可能性が否めない。しかしながら、より速く歩くことを求められた場合、結果として6分間歩行距離は最大歩行距離とほぼ等しい関係になる。
結論:
アメリカ胸部疾患学会(ATS)が推奨する6MWTの標準的手法では、患者は遠くまで歩かないだろう。指導法として、“可能な限り遠くまで歩いて下さい”の代わりに、“可能な限り速く歩いて下さい”という声かけを行うことで、より遠くまで歩く努力をするものと考えられる。
by otowelt
| 2013-09-04 00:17
| びまん性肺疾患