
インターロイキン-4についてはデュピルマブの報告が記憶に新しいと思います。
・好酸球増加を伴う中等症から重症の持続性気管支喘息に対してデュピルマブは有効
Chad K Oh, et al.
A randomized, controlled trial to evaluate the effect of an anti-interleukin-9 monoclonal antibody in adults with uncontrolled asthma
Respiratory Research 2013, 14:93
背景:
臨床前試験において、インターロイキン-9は気管支喘息の気道炎症の発展と維持に主要な役割を果たしているかもしれないと考えられている(BMC Pulm Med 2011, 11:14.)。この試験の目的は、コントロール不良である中等度~重症の成人の気管支喘息患者に対する抗インターロイキン-9モノクローナル抗体であるMEDI-528の効果を評価することである。
方法:
2009年10月から2011年11月までに実施されたこのプロスペクティブ二重盲検多施設(53施設)共同並行群間試験において、329人の患者が1:1:1:1にプラセボ皮下注射、MEDI-528(30、100、300mg)に2週ごと24週間投与する4群にランダムに割り付けた(気管支喘息治療は従来の治療を継続)。患者は18~65歳の気管支喘息患者で、BMI18~35 kg/m2と規定した。
治療開始初期は吸入ステロイド薬の量を変化させないように設定(治療開始0~13週目)し、コントロールが得られておればステロイド減量が可能とする時期をその後(治療開始13~25週目)に設けた。
プライマリエンドポイントは、治療開始13週目の平均喘息コントロール質問票-6(Asthma Control Questionnaire-6 :ACQ-6、Eur Respir J 1999, 14:902–907.)の変化とした。セカンダリエンドポイントは、治療13週目と24週目の重みつき気管支喘息発作頻度と気管支拡張薬投与前一秒量、治療12週目と24週目の喘息QOL質問票スコア、試験期間中のMEDI-528の安全性とした。プライマリエンドポイントは共分散を用いて解析をおこなった。
結果:
327人のうち69%が女性で平均年齢は43歳(18~65歳)であった。
平均(標準偏差)ベースラインACQ-6スコアはプラセボ(82人)およびMEDI-528(全用量群合算245人)で2.8(0.7)、2.8(0.8)だった。また、%予測一秒量はそれぞれ70.7% (15.9)、71.5% (16.7)だった。治療13週目のベースラインからの平均(SD)変化はプラセボ、MEDI-528群でそれぞれ−1.2 (1.0)、−1.2 (1.1)だった(p = 0.86)。治療25週目の気管支喘息発作頻度(95%信頼区間)は、それぞれ0.58 (0.36–0.88)、0.49 (0.37–0.64)だった(単位:発作数/人/年)(p = 0.52)。



副作用は両群ともに同等であった(プラセボ:82.9%、MEDI-528 30mg:76.5%、100mg:81.9%、300mg:85.2%)。最も多くみられたのは気管支喘息(発作)だった(関与が否定できないため)(30.5% vs 33.5%)。続いて、上気道感染(14.6% vs 17.1%)、頭痛(9.8% vs 9.8%)など。
結論:
従来の気管支喘息に対する薬剤にMEDI-528の追加投与は、ACQ-6スコア、気管支喘息悪化率、一秒量の改善をもたらさなかった。プラセボと比較して安全性の懸念事項は特にない。