ADL低下と慢性心疾患は、抗結核薬によるビリルビン上昇を伴う薬剤性肝障害のリスク
2013年 10月 11日

Kato H, et al.
Risk Factors for Liver Injury with an Elevated Serum Bilirubin Concentration Caused by Antituberculous Drugs
Internal Medicine Vol. 52 (2013) No. 19 p. 2209-2214
目的:
血清ビリルビン濃度の上昇による薬剤性肝障害(DILI)のリスク因子について満足した研究はほとんどない。
方法:
われわれは、日本における2病院に入院した結核患者コホートを使用して観察試験を実施した。ADLの低下はBarthel Indexスコアによって80未満と定義した。結核患者はDOTSのもと標準治療を受けた。
結果:
356人の患者が登録された。内訳は、244人(68.5%)が男性、112人(31.5%)が女性であった。平均年齢は63.8±20.2歳だった。血清ビリルビン濃度2.0mg/dL以上のDILIがなかった患者と比較すると、DILI患者ではADL低下が観察され、慢性心疾患を有する傾向が高く、アルブミン低値、AST高値であった。またDILI例ではピラジナミドを含む4剤併用レジメンの頻度が少なかった。
ロジスティック回帰分析によれば、ADL低下が最もDILIを予測する因子であった(オッズ比16.5、95%信頼区間1.7~159、p = 0.015)。また、慢性心疾患もオッズ比を上昇させた(オッズ比4.0、95%信頼区間1.2~12.6、p=0.020)。

結論:
ADL低下と慢性心疾患は血清ビリルビン濃度2.0mg/dL以上のDILIのリスクである。
by otowelt
| 2013-10-11 00:05
| 抗酸菌感染症