鎖骨下静脈の中心静脈カテーテル挿入が困難な場合、内頚静脈か大腿静脈のいずれがよいか
2013年 11月 13日

Jean-François Timsit, et al.
Jugular vs. Femoral Short-Term Catheterization and Risk of Infection in ICU Patients: Causal Analysis of 2 Randomized Trials
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, in press.
背景:
ICUにおける中心静脈カテーテルの留置に際して鎖骨下静脈のアクセスが困難なとき、内頚静脈か大腿静脈のいずれを選択すればいいのか議論の余地がある。
方法:
2つの多施設共同試験のデータを用いて、大腿静脈および内頚静脈におけるカテーテル関連血流感染症(CR-BSI)、主要なカテーテル関連感染症(M-CRI)、カテーテル先端コロナイゼーションのリスクを比較した。また、ドレシングの破綻、皮膚コロナイゼーションの頻度も比較した。われわれはInverse probability of treatment weighting (IPTW)法による周辺構造モデル を用いてバイアスの補正をおこなった。
結果:
2128人の患者(2527カテーテル、19481カテーテル・日)を登録した。CR-BSIの頻度、(1000カテーテル・日あたり内頚静脈1.0 vs. 大腿静脈1.1、ハザード比0.63[95%信頼区間0.25~1.63]、p=0.34)、M-CRIの頻度(1000カテーテル・日あたり内頚静脈1.8 vs. 大腿静脈1.4、ハザード比0.91[95%信頼区間0.38~ 2.18]、p=0.34)、コロナイゼーションの頻度(1000カテーテル・日あたり内頚静脈11.6 vs. 大腿静脈12.9、ハザード比0.80[95%信頼区間0.25~1.63]、p=0.15)に差はみられなかった。
しかしながら、IPTW Coxモデルではコロナイゼーションは女性の方に多くみられ(ハザード比0.39、95%信頼区間0.24~0.63、p<0.001)、カテーテルを4日超留置している場合に多くみられる傾向にあった(ハザード比0.73、95%信頼区間0.53~1.01、p=0.05)。非クロルヘキシジンドレシング剤使用者でも、コロナイゼーションは多くなった(ハザード比0.60、95%信頼区間0.39~0.90、p=0.01)。

結論:
大腿静脈および内頚静脈のカテーテル関連感染症は同程度であった。女性や非クロルヘキシジンドレシング剤使用者、4日を超えるカテーテル留置の場合には内頚静脈の方が望ましいかもしれない。鎖骨下静脈のアクセスが困難な場合、大腿静脈および内頚静脈からのアプローチはいずれも容認できる。
by otowelt
| 2013-11-13 00:20
| 集中治療