加湿器用消毒剤による小児間質性肺疾患、死亡率58%
2013年 11月 25日

それにしてもchILDと書くと、CHILD(チャイルド)になるのですね。
Kyung Won Kim, et al.
Humidifier Disinfectant-Associated Children’s Interstitial Lung Disease
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, in press.
背景:
2006年初頭、毎年春になると韓国で観察される原因不明の小児の肺傷害が報告された。近年、この小児の間質性肺疾患(chILD)は加湿器用消毒剤の使用と関連していることがわかった。
目的:
chILDの臨床的特徴を同定し、2011年秋の加湿器用消毒剤の売上国内調査がその発症に与えた影響を調査した。
方法:
2006年から2011年までの間、国内でのレトロスペクティブの調査によって当該事例の臨床的特徴が抽出された。
結果:
合計138人がchILDと診断された。この臨床的特徴として、急速進行性、高い死亡率、春に多い、家族性があること、が挙げられた。2011年まで季節性の発症が増加していたが、2011年11月11日に加湿器用消毒剤6製品の回収命令を出した。その翌年の2012年には当該事例の発症はなくなった。

小児の平均年齢は30.4ヶ月だった。もっともよくみられた症状は咳嗽と呼吸困難だった。病状が悪化するにつれて、エアリークを合併するようになった。80人の小児(58%)が死亡した。

結論:
小児に対する加湿器消毒剤の吸入は、エアリーク、急速進行性、治療反応性不良、高い死亡率といった特徴を有するchILDを引き起こす。
コメント:
回収命令の対象となった製品は、PHMG (polyhexamethylene guanidine) あるいはPGH (Oligo(2-(2-ethoxy)ethoxyethyl guanidinium chloride) を主成分としている。これらは、韓国毒性学研究所(Korea Institute of Toxicology)で実施されたマウスの吸入毒性試験において、気管周囲の炎症、気管支上皮脱落、肺の線維化、炎症細胞浸潤を起こすとされている。
by otowelt
| 2013-11-25 00:44
| びまん性肺疾患