人工呼吸器関連肺炎における短期的抗菌薬と長期的抗菌薬の比較
2013年 12月 04日

Short- vs Long-Duration Antibiotic Regimens for Ventilator-Associated Pneumonia
A Systematic Review and Meta-analysis
CHEST 2013; 144(6):1759–1767
背景:
われわれは人工呼吸器関連肺炎(VAP)において短期の抗菌薬投与と長期の抗菌薬投与を比較するためシステマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなった。
方法:
PubMed、Cochrane Central Registryからランダム化比較試験を抽出した。4つのランダム化比較試験(全てJadadスコア3以上)において、短期(7日~8日)の抗菌薬投与と長期(10日~15日)の抗菌薬投与が比較されていた。プライマリアウトカムは死亡率、抗菌薬非投与日数、臨床的および微生物学的再発とした。セカンダリアウトカムは、人工呼吸器非装着日数、人工呼吸器装着期間、ICU在室期間とした。
結果:
すべてのランダム化比較試験で死亡率のデータがあり、再発は4試験のうち2試験、抗菌薬非投与日数は3試験でデータが存在した。
死亡率については両群ともに差はみられなかった(固定効果モデル[FEM]:オッズ比1.20; 95%信頼区間 0.84-1.72; P= .32)。

28日死亡率のデータを提示している研究に限定した感度解析、およびそのうちブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌が原因である研究に限定した解析のいずれにおいても死亡率に差はみられなかった。
抗菌薬非投与日数については、加重平均差3.4日で短期抗菌薬群の方が望ましいという結果であった(REM: 95%信頼区間1.43-5.37; P < .001)。

再発率については両群ともに統計学的に差はみられなかったが、長期的な抗菌薬投与の方が再発率が低い傾向にあった。

ただしこれらの結果はフランスの大規模研究(JAMA. 2003;290:2588-2598.)が大きく影響したものであり、登録試験数も多くないことはlimitationsとして挙げなければならない。
結論:
VAPに対する短期的抗菌薬治療は抗菌薬非投与日数の増加に関連していた。死亡率や再発率に差はなかったものの、長期的抗菌薬治療は低い再発率の傾向がみられた。
感染症レジデントマニュアル 第2版が出るようです。
by otowelt
| 2013-12-04 00:21
| 感染症全般