病棟に置いたチョコレートの生存期間中央値は51分

病棟に置いたチョコレートの生存期間中央値は51分_e0156318_230086.jpg これもクリスマスBMJです。病棟にチョコレートを置いたら、どうなるかという研究です。

Parag R Gajendragadkar, et al.
The survival time of chocolates on hospital wards: covert observational study
BMJ2013;347doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f7198


目的:
 病棟環境におけるチョコレートの消費量を定量化すること。

デザイン:
 多施設共同プロスペクティブ観察研究。

研究場所:
 著者らが勤務するイギリス3病院における4病棟。

研究参加:
 病棟におけるネスレのQuality Street チョコレート 、キャドバリーのRosesチョコレート、およびそれらを食べた誰か。

介入:
 観察者は2つの350gボックスチョコレートをそれぞれの病棟に置いた(合計8ボックス、258個)。これらの箱は持続的に観察下におかれ、それぞれのチョコレートが食べられた時の時間を記録した。

アウトカム:
 チョコレートの生存期間中央値。

結果:
 チョコレート258個中191個が食べられた。平均観察期間は254分(95%信頼区間179~329分)であった。チョコレートの生存期間中央値は51分(95%信頼区間39~63分)だった。チョコレート消費モデルは非線形であり、初期に急速に消費された後、消費スピードは緩やかになった。指数関数的減衰モデルがこれらの結果に最も合致した。50%のチョコレートが食べられる時間(半減期)は99分だった。また、チョコレートの箱が病棟で開けられるまでの平均時間は12分(95%信頼区間0~24分)だった。
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(文献より引用)

 Quality StreetチョコレートはRosesチョコレートよりも長期に生存した(ハザード比0.70, 95%信頼区間0.53 to 0.93, P=0.014)。
 最も高い頻度で摂取した医療従事者は、ヘルスケアアシスタント(28%)、看護師(28%)であり、医師は15%だった。

結論:
 この観察研究によって、病棟におけるチョコレートの生存期間が比較的短く、また指数関数的減衰の生存曲線を描くことがわかった。RosesチョコレートはQuality Streetチョコレートよりも人気があった。ヘルスケアアシスタントと看護師によって消費されることが多く、医師がそれに次いだ。さらなる研究が望まれる。


by otowelt | 2013-12-16 10:45 | その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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