メタアナリシス:PaO2、PaCO2の推定に静脈血液ガス分析は有用でない?
2014年 01月 15日

ANTHONY L BYRNE, et al.
Peripheral venous and arterial blood gas analysis in adults: are they comparable? A systematic review and meta-analysis
Respirology (2014) doi: 10.1111/resp.12225
背景:
末梢血静脈血液ガス分析(PVBG)は動脈血液ガス分析(ABG)の代替として広く用いられることがあるが、その同等性についてははっきりと示されていない。PVBGから得られるpH、PCO2、PO2がABGと同等に扱えるか否か検討した。
方法:
PVBGとABGを成人において比較したデータを記した2012年12月までの利用可能な文献を検索し、システマティックレビューをおこなった。ランダム効果モデルを用いたメタアナリシスによって、静脈血と動脈血のpH、PCO2、PO2の平均差(バイアス)と誤差の許容範囲を算出した。
結果:
18試験1768人の被験者がメタアナリシスに組み込まれた。試験間の異質性は高く、I2は100%に達した。
PVBGおよびABGから得られたpHにはわずかな差がみられ、動脈血pHは典型的には静脈血pHよりも0.03高かった(95%信頼区間0.029–0.038)。
静脈血PCO2に対するバイアスの95%予測区間は許容できないほど広かったため(-10.7mmHgから+2.4mmHg)、静脈血PCO2と動脈血PCO2を比較することはできなかった。

動脈血PO2は典型的には静脈血よりも36.9mmHg高かった(95%信頼区間27.2-46.6 mm Hg)。これも値の互換性を評価するには、値幅が広すぎた。

結論:
PVBGはABGのpHを推定するには有用だが、PCO2、PO2の推定には有用ではない。
by otowelt
| 2014-01-15 10:38
| 呼吸器その他