STAR試験:CPAP継続が困難な閉塞性睡眠時無呼吸患者に対して上気道刺激装置植え込み術は有効
2014年 01月 16日
Inspire®の臨床試験です。舌根沈下を電気刺激で抑制するというとてつもない発想のもと生まれたデバイスです。わかりやすいムービーがデバイスを製造している会社のホームページにありますので、興味のある方はどうぞ。
・Inspire® Upper Airway Stimulation (UAS) therapy
Patrick J. Strollo, Jr, et al.
Upper-Airway Stimulation for Obstructive Sleep Apnea
N Engl J Med 2014; 370:139-149January 9, 2014
背景:
閉塞性睡眠時無呼吸は大きな健康リスクである。持続的陽圧呼吸(CPAP)によってこれらのリスクを軽減することが可能だが、コンプライアンス不良の場合その有効性は低下するかもしれない。本研究では、中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸に対する上気道刺激の、12ヶ月時の臨床的安全性と有効性を評価した。
方法:
多施設共同プロスペクティブ単群コホートデザインによって、閉塞性睡眠時無呼吸があるもののCPAP療法の継続が困難な患者を対象に、上気道刺激装置(Inspire®)植込み術をおこなった。プライマリアウトカムは、無呼吸低呼吸指数(AHI:1時間あたりの無呼吸あるいは低呼吸の回数で、15点以上で中等症~重症の無呼吸であることを示す)と、酸素飽和度低下指数(ODI:睡眠1時間あたりに血中酸素濃度がベースラインから4%ポイント以上低下した回数)とした。セカンダリアウトカムは、エプワース眠気尺度、睡眠の機能的転帰に関する質問票(FOSQ)、酸素飽和度90%未満の睡眠時間の割合とした。効果があった患者を連続的にランダム化対照治療中止試験に組み込んだ。
結果:
本研究の対象は126人で、83%が男性だった。平均年齢は54.5歳、平均BMIは28.4だった。AHIスコア中央値は12ヶ月時で68%低下、29.3回/時から9.0回/時に減少(P<0.001)。ODIは70%低下、25.4回/時から7.4回/時に減少(P<0.001)。セカンダリアウトカムでは、睡眠時無呼吸の影響の低減とQOLの改善があった。
ランダム化フェーズでは、治療を継続した23人において平均AHIスコアに非ランダム化フェーズの12ヶ月時のスコアと有意差は観察されなかった。AHIスコアは治療中止群の23人のほうが有意に高かった(→重症の無呼吸が示唆される)(25.8回/時 vs. 7.6回/時、P<0.001)。ODIも同様の傾向だった。植込み術に関連する重篤な有害事象の発生率は2%未満だった。
結論:
閉塞性睡眠時無呼吸患者に対する上気道刺激によって、客観的・主観的なアウトカムに有意な改善があった。
・Inspire® Upper Airway Stimulation (UAS) therapy
Patrick J. Strollo, Jr, et al.
Upper-Airway Stimulation for Obstructive Sleep Apnea
N Engl J Med 2014; 370:139-149January 9, 2014
背景:
閉塞性睡眠時無呼吸は大きな健康リスクである。持続的陽圧呼吸(CPAP)によってこれらのリスクを軽減することが可能だが、コンプライアンス不良の場合その有効性は低下するかもしれない。本研究では、中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸に対する上気道刺激の、12ヶ月時の臨床的安全性と有効性を評価した。
方法:
多施設共同プロスペクティブ単群コホートデザインによって、閉塞性睡眠時無呼吸があるもののCPAP療法の継続が困難な患者を対象に、上気道刺激装置(Inspire®)植込み術をおこなった。プライマリアウトカムは、無呼吸低呼吸指数(AHI:1時間あたりの無呼吸あるいは低呼吸の回数で、15点以上で中等症~重症の無呼吸であることを示す)と、酸素飽和度低下指数(ODI:睡眠1時間あたりに血中酸素濃度がベースラインから4%ポイント以上低下した回数)とした。セカンダリアウトカムは、エプワース眠気尺度、睡眠の機能的転帰に関する質問票(FOSQ)、酸素飽和度90%未満の睡眠時間の割合とした。効果があった患者を連続的にランダム化対照治療中止試験に組み込んだ。
結果:
本研究の対象は126人で、83%が男性だった。平均年齢は54.5歳、平均BMIは28.4だった。AHIスコア中央値は12ヶ月時で68%低下、29.3回/時から9.0回/時に減少(P<0.001)。ODIは70%低下、25.4回/時から7.4回/時に減少(P<0.001)。セカンダリアウトカムでは、睡眠時無呼吸の影響の低減とQOLの改善があった。
ランダム化フェーズでは、治療を継続した23人において平均AHIスコアに非ランダム化フェーズの12ヶ月時のスコアと有意差は観察されなかった。AHIスコアは治療中止群の23人のほうが有意に高かった(→重症の無呼吸が示唆される)(25.8回/時 vs. 7.6回/時、P<0.001)。ODIも同様の傾向だった。植込み術に関連する重篤な有害事象の発生率は2%未満だった。
結論:
閉塞性睡眠時無呼吸患者に対する上気道刺激によって、客観的・主観的なアウトカムに有意な改善があった。
by otowelt
| 2014-01-16 00:29
| 呼吸器その他