空洞を有する非小細胞肺癌への化学療法の忍容性は良好だが、喀血や感染には注意が必要
2014年 01月 31日
空洞のある肺癌患者さんは少なくありませんので、非常に興味深い報告です。
Takaaki Tokito, et al.
Toxicity and efficacy of chemotherapy for non-small cell lung cancer with cavitary lesions
Respiratory Inestigation, in press.
背景:
空洞性病変を有する病期IIIの非小細胞肺癌(NSCLC)の患者における化学放射線療法は、重篤な肺合併症を引き起こし予後不良の予測因子であると報告されている(BMC Cancer 2012;12:1–6.、J Thorac Oncol 2012;7:1271–5.)。しかしながら、空洞性病変を有する進行NSCLCにおける化学療法の効果と毒性についてはよくわかっていない。われわれは、空洞性病変を有するNSCLC患者に対する化学療法に関連した毒性、喀血、空洞内感染、治療効果を調べた。
方法:
われわれは2008年1月から2010年12月までの間、レトロスペクティブにファーストライン化学療法を受けた患者を連続してレビューした。化学療法は白金製剤ベースの化学療法、単剤化学療法、EGFR-TKIを含めた。
空洞は最大直径10mm超の病変で、壁の厚さが1mm超、壁辺縁が不整であり病変が嚢胞やブラと交通していないものとした。1人の放射線科医、2人の呼吸器内科医によってその存在が診断された。
結果:
治療前に腫瘍に空洞を有したのは415人のNSCLC患者のうち23人(5.5%)であった。患者は47~80歳で、年齢中央値は69歳だった。16人(70%)が男性であり、残りは女性。83%が喫煙歴を有していた。11人(48%)が腺癌、8人(35%)が扁平上皮癌だった。20人がECOG OS 0~1だった。13人でEGFR遺伝子変異が検索され、そのうち2人が感受性遺伝子変異陽性だった。ALKも13人で検索され1人に転座がみられた。胸部CTにおいて空洞は左右ともに同等の頻度で存在していたが、74%が下葉に存在していた。空洞直径は中央値で19mmだった。
全患者の奏効率は30%で、生存期間中央値(MST)は8.9ヶ月だった。白金製剤ベースの化学療法で治療された15人の患者のMSTは11ヶ月だった。多変量解析において、空洞が右下葉にある場合(オッズ比5.49、95%信頼区間1.08–27.94)や空洞直径/腫瘍直径比が0.55以上の場合(オッズ比17.88、95%信頼区間3.3–93.19)、空洞内感染のリスクを上昇させた。
治療中断を余儀なくされたGrade 1の気道出血が2人の患者にみられ、Grade 3の空洞内感染が2人の患者にみられた。これらの有害事象はCTCAE ver4.0によって診断した。
結論:
この研究によれば、空洞を有するNSCLC患者に対する化学療法の毒性は概して忍容性があった。しかしながら、空洞内感染の発症には注意しなければならないだろう。加えて、この研究は空洞を有するNSCLC患者の化学療法の効果が報告されている奏効率と同等であることを示唆している。ただ、これらの患者の生存期間は一般的なNSCLC患者のものと比較すると不良かもしれない。
Takaaki Tokito, et al.
Toxicity and efficacy of chemotherapy for non-small cell lung cancer with cavitary lesions
Respiratory Inestigation, in press.
背景:
空洞性病変を有する病期IIIの非小細胞肺癌(NSCLC)の患者における化学放射線療法は、重篤な肺合併症を引き起こし予後不良の予測因子であると報告されている(BMC Cancer 2012;12:1–6.、J Thorac Oncol 2012;7:1271–5.)。しかしながら、空洞性病変を有する進行NSCLCにおける化学療法の効果と毒性についてはよくわかっていない。われわれは、空洞性病変を有するNSCLC患者に対する化学療法に関連した毒性、喀血、空洞内感染、治療効果を調べた。
方法:
われわれは2008年1月から2010年12月までの間、レトロスペクティブにファーストライン化学療法を受けた患者を連続してレビューした。化学療法は白金製剤ベースの化学療法、単剤化学療法、EGFR-TKIを含めた。
空洞は最大直径10mm超の病変で、壁の厚さが1mm超、壁辺縁が不整であり病変が嚢胞やブラと交通していないものとした。1人の放射線科医、2人の呼吸器内科医によってその存在が診断された。
結果:
治療前に腫瘍に空洞を有したのは415人のNSCLC患者のうち23人(5.5%)であった。患者は47~80歳で、年齢中央値は69歳だった。16人(70%)が男性であり、残りは女性。83%が喫煙歴を有していた。11人(48%)が腺癌、8人(35%)が扁平上皮癌だった。20人がECOG OS 0~1だった。13人でEGFR遺伝子変異が検索され、そのうち2人が感受性遺伝子変異陽性だった。ALKも13人で検索され1人に転座がみられた。胸部CTにおいて空洞は左右ともに同等の頻度で存在していたが、74%が下葉に存在していた。空洞直径は中央値で19mmだった。
全患者の奏効率は30%で、生存期間中央値(MST)は8.9ヶ月だった。白金製剤ベースの化学療法で治療された15人の患者のMSTは11ヶ月だった。多変量解析において、空洞が右下葉にある場合(オッズ比5.49、95%信頼区間1.08–27.94)や空洞直径/腫瘍直径比が0.55以上の場合(オッズ比17.88、95%信頼区間3.3–93.19)、空洞内感染のリスクを上昇させた。
治療中断を余儀なくされたGrade 1の気道出血が2人の患者にみられ、Grade 3の空洞内感染が2人の患者にみられた。これらの有害事象はCTCAE ver4.0によって診断した。
結論:
この研究によれば、空洞を有するNSCLC患者に対する化学療法の毒性は概して忍容性があった。しかしながら、空洞内感染の発症には注意しなければならないだろう。加えて、この研究は空洞を有するNSCLC患者の化学療法の効果が報告されている奏効率と同等であることを示唆している。ただ、これらの患者の生存期間は一般的なNSCLC患者のものと比較すると不良かもしれない。
by otowelt
| 2014-01-31 00:01
| 肺癌・その他腫瘍