進行肺癌に合併する難治性続発性気胸に対する胸腔内フィブリン糊注入療法
2014年 02月 24日

西野 豪志ら.
進行肺癌に合併した続発性気胸に対する胸腔内フィブリン糊注入療法の経験
日本呼吸器外科学会雑誌Vol. 28 (2014) No. 1 p. 13-18
背景:
進行肺癌に合併する続発性気胸は,難治性であることが多く,患者のQuality of Lifeおよび予後を著しく悪化させる深刻な病態である.当院では進行肺癌に合併した続発性気胸の治療に対しては,胸腔内フィブリン糊注入療法を第一選択としている(Jpn J Thorac Cardiovasc Surg 2003;51: 41-7.).
方法:
2009 年4 月から2012 年5 月の期間に切除不能な進行肺癌患者の治療経過中に気胸を発症した症例のうち,肺癌と同側の気胸で,胸腔ドレナージ後1 週間以上気漏が持続した5 例を対象とした.
結果:
平均年齢は60.8歳で,組織型は扁平上皮癌が4例,腺癌が1例であった.全例がStage IIIA以上の切除不能進行肺癌であり,化学療法中の発症が4例,化学放射線療法中の発症が1例であった.5例中4例は胸腔造影検査で気漏部位が特定でき,フィブリン糊注入療法で気漏の停止が得られた.全例で,気漏停止後に化学療法または放射線治療の追加が可能となった.
結論:
進行肺癌に合併する難治性続発性気胸に対する胸腔内フィブリン糊注入療法は有効であり,まず試みる治療として妥当であると考える.
by otowelt
| 2014-02-24 00:33
| 呼吸器その他