人種差別を受けている黒人女性は気管支喘息の罹患率比が高い
2014年 03月 15日

Patricia F. Coogan, et al.
Experiences of Racism and the Incidence of Adult-Onset Asthma in the Black Women’s Health Study
Chest. 2014;145(3):480-485. doi:10.1378/chest.13-0665
背景:
人種差別といった慢性的なストレスをかかえていると、免疫や気道系の影響から成人発症の喘息を増加させるかもしれないと言われている。われわれは、Black Women’s Health Study(BWHS:1995年から2年に1回のアンケートを実施した黒人女性コホート)において成人気管支喘息の症例をプロスペクティブに調査した。
方法:
1997年から2011年の間に38142人の参加者(21~69歳の黒人女性)が登録され、1068人が気管支喘息を発症した。人種差別スコアについてはウィリアムズらのスコアリングを使用(J Health Psychol . 1997; 2( 3): 335- 351.)。毎日の人種差別スコアは5つの質問から構成されており、人種差別を日常生活でどの程度感じるかといった点を調査した。
・「他の人と比較してレストランや店で悪いサービスを受けたことはあるか」
・「あたかも知的レベルが高くないように他人から対応されたことはあるか」
・「気味が悪い・恐れているかのように他人から対応されたことはあるか」
・「不誠実であるかのように他人から対応されたことはあるか」
・「自分よりも高位の人間であるかのように振る舞われたことはあるか」
また生涯の人種差別スコアを、職業関連、住宅関連、警察行政の対応などを考慮したアンケートから算出した。
Cox回帰モデルを用いて気管支喘息の罹患率比(IRRs)を算出。
結果:
平均フォローアップ期間13年、合計227,651人年の解析となった。
1997年の毎日の人種差別スコアのもっとも低い四分位と比較するともっとも高い四分位のIRRは1.45 (95%信頼区間1.19-1.78)であった(P for trend <.0001)。同様に、生涯の人種差別スコアのIRRは1.44 (95%信頼区間1.18-1.75)だった。

1997年と2009年の人種差別が同程度であると報告した女性のうち、もっとも高い四分位のIRRは毎日の人種差別スコア、生涯の人種差別スコアでそれぞれ2.12 (95%信頼区間1.55-2.91)、1.66 (95%信頼区間 1.20-2.30)であった。

結論:
アメリカの黒人女性における人種差別の気管支喘息の頻度は多いものであり、これらの関連性は公衆衛生上軽視できるものではない。
by otowelt
| 2014-03-15 00:29
| 気管支喘息・COPD