Elbow sign:ベッドで肘鉄されたら閉塞性睡眠時無呼吸かもしれない

Elbow sign:ベッドで肘鉄されたら閉塞性睡眠時無呼吸かもしれない_e0156318_13554379.jpg 動詞の「Elbow」を肘鉄と訳してよいのか迷いましたが、とりあえずいたって真面目な報告のようです。

Mark E. Fenton, et al.
The Utility of the Elbow Sign in the Diagnosis of OSA
CHEST 2014; 145(3):518–524


背景:
 複数の質問を行うことで閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の診断を予測することができるとされている。ただ、スコアリングが複雑であることが難点である。われわれは、簡単な2パートの質問がOSAの診断に有用ではないかと考え、これを検証した。

方法:
 OSAの診断目的にポリソムノグラフィを施行する前に、以下の質問をした。
(1)あなたのいびきのせいでパートナーから突っつかれたり肘鉄をくらったことがありますか?
(2)あなたの呼吸が止まっていたためにパートナーから突っつかれたり肘鉄をくらったことがありますか?

 年齢、性別、BMI、エプワース睡眠スケール(ESS)のデータが収集された。

結果:
 解析を受けた患者のうち、73.4%が男性であった。平均年齢は50.8歳で、平均BMIは33.9 kg/m2だった。
 ポリソムノグラフィを受けた128人の患者のうち、いびきのせいで起こされたことがある(yes)と答えた患者は、noと答えた患者と比較してAHIが5以上であるオッズ比が3.9倍であった。また、無呼吸発作のせいで起こされたことがある(yes)と答えた患者は、noと答えた患者と比較してAHIが5以上であるオッズ比が5.8倍であった。この関連性は性別、BMI、ESS、他の質問に対するyesの回答の有無にって差はみられなかった。OSAがある50歳を超える患者は、肘鉄を受けたという報告は少なかった。
 いびきのために起こされる場合のOSAの診断の感度と特異度は、84%、42%であった(陽性尤度比1.45、陰性尤度比0.37)。また、無呼吸発作のために起こされる場合のOSAの診断の感度と特異度は、65%、76%であり、陽性適中率は90%だった(陽性尤度比2.69、陰性尤度比0.46)。
 BMIが31を超える男性では肘鉄を受けることはOSAの診断を特異度96.6%で予測した。
Elbow sign:ベッドで肘鉄されたら閉塞性睡眠時無呼吸かもしれない_e0156318_13515234.jpg
(文献より引用)

結論:
 睡眠障害クリニックに紹介される患者のうち、無呼吸発作のために肘鉄を受けたり突っつかれたりする場合、OSAの存在を有意に予測する。


by otowelt | 2014-03-17 07:17 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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