スギ花粉症に対する減感作療法:シダトレン®の使用について

 シダトレン®の講習会を受講した医師も多いと思いますが、今月からようやくe-learningが開始されます(両方受けないと処方できません)。

 鳥居薬品から販売されるシダトレン®は、ご存知の通りスギ花粉由来のアレルゲンを含む液を舌下投与する薬剤です。ただし、まれではあるものの重篤なアレルギー(アナフィラキシー)の発現が懸念されています。そのため、安全対策の観点から処方するためには条件があります。

●承認条件
 舌下投与による減感作療法に関する十分な知識・経験を持つ医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師・医療機関のもとでのみ用いられ、薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

そのため主治医は、事前に関連学会が主催する「舌下免疫療法(減感作療法)の講習会」を受講修了し、続いて「シダトレン適正使用eラーニング」を受講修了した後、「シダトレン適正使用eテスト」に合格することで「受講修了医師」として登録される必要があります。また、調剤薬局では調剤前にこれが確認されます。「受講修了医師」の確認(①医師名またはシダトレン受講修了医師番号、②医療機関名)を行い、いずれか一方でも確認できなかった場合は、調剤ができません。
スギ花粉症に対する減感作療法:シダトレン®の使用について_e0156318_1053670.jpg
 また、シダトレンを処方するためには「シダトレン適正使用eラーニング」を受講修了した後、「シダトレン適正使用eテスト」合格後に、シダトレンを処方される医療機関の登録を行う必要があります。この医療機関はアナフィラキシー等の緊急時対応可能であることの確認および登録が必要となります。
スギ花粉症に対する減感作療法:シダトレン®の使用について_e0156318_1084247.jpg

 なお、呼吸器内科医として知っておかねばならないのはシダトレンに関する以下の禁忌です。
⒈ 本剤の投与によりショックを起こしたことのある患者
重症の気管支喘息患者
〔本剤の投与により喘息発作を誘発するおそれがある。〕
悪性腫瘍、または免疫系に影響を及ぼす全身性疾患(例えば自己免疫疾患、免疫複合体疾患、または免疫不全症等)
〔免疫系に異常がある場合、本剤の有効性、安全性に影響を与えるおそれがある。また本剤の投与によりこれらの疾患に影響を与えるおそれがある。〕



by otowelt | 2014-03-13 12:00 | 内科一般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
カレンダー