
Yuhui Zhang, et al.
Prevalence and associations of venous thromboembolism in patients with newly diagnosed lung cancer
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2379
背景:
肺癌に対する治療前の静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクについてはよくわかっていない。
方法:
2009年1月から2011年1月までの間、5病院において合計673人の新規に肺癌と診断された入院患者が入院後1週間以内にVTEの精査をおこなった。画像検査を含め、すべてのVTEイベントが記録された。血球数、血清CEAが治療前に測定された。
結果:
VTEイベントは673人の患者のうち89人(13.2%)に起こった。42人(6.2%)がPEのみであり、14人(2.1%)がDVTとPEの両方を発症した。多変量ロジスティック回帰分析により、遠隔転移(オッズ比2.2; 95%信頼区間1.2-3.9)、白血球増多(オッズ比2.8; 95%信頼区間1.5-5.4)が有意にDVTと関連していた。また、腺癌(オッズ比2.1; 95%信頼区間1.1-4.4)、貧血(オッズ比4.6; 95%信頼区間1.4-14.5)は有意にPEと関連していた。血清CEA上昇は、PEと関連していた(P for trend=0.06)。PEのリスク診断に対するCEAのROC曲線下面積は0.68 (95%信頼区間 0.59-0.76, P <0.001)であった。

結論:
肺癌と新規に診断された患者におけるVTEの頻度は高かった。肺癌患者において、DVT関連因子はPEのそれとは異なっているのかもしれない。血清CEA上昇はPE発症リスクの高い患者を同定するのに有用かもしれない。
補足:
過去の報告と照らし合わせると結果はまちまちであるが、Connollyらの報告したより大規模な研究においても同様の数値であった。
