ブラームスは外科医ビルロートの親友だった

ブラームスは外科医ビルロートの親友だった_e0156318_14503632.jpg ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms、1833年~1897年)は古典主義的な音楽観を持ったロマン派の代表的作曲家です。ピアノ独奏曲も数多く書いており、op.117~op.118あたりはコンサートなどでもよく弾かれます。しかし彼を語る上で外せないのが交響曲です。ブラームスの作曲する交響曲は非常に重厚で、メロディアスです。私もオーケストラで交響曲2番と3番にクラリネットのチョイ役で参加したことがありますが、演奏しているだけで心地よくなるのは彼の交響曲だけだったのをよく覚えています。

 というわけで、私はブラームスの交響曲が非常に好きで、特にフルトヴェングラーが指揮をする交響曲2番は秀逸だと思っています。
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(交響曲2番 第4楽章 Allegro con spirito)

 話は変わってテオドール・ビルロート(Christian Albert Theodor Billroth、1829年~1894年)。彼はドイツ出身のオーストリアの外科医で、胃癌切除手術に初めて成功したことで知られています。外科医でなくとも、Billroth I法、Billroth II法はご存知でしょう。国家試験にも出題されるくらい有名な術式ですね。I法が残胃と十二指腸の吻合法を改良したもので、II法が十二指腸の断端を閉鎖して残胃と空腸を吻合したものです。呼吸器内科医として長く働いていますので、もはや外科系の知識は記憶のかなたですが・・・。

 テオドール・ビルロートは作曲の能力がきわめて高く、実は彼の親友にブラームスがいたことが知られています。お恥ずかしい話、私はビルロートとブラームスの関係を最近まで知りませんでした。

 ビルロートは親友のブラームスをもうならせるほどの室内楽曲・歌曲を作曲しています。ビルロートとブラームスは若い頃から仲が良く、二人で旅行に行くほどの仲でもありました(ヘンなウワサもあったみたいですが)。しかし、ある日ビルロートが肺炎・心不全で体調を崩したころから互いに疎遠になってしまい、若い頃ほど親交がなくなっていったと言われています。
Kern E. Our surgical heritage. Theodore Billroth and music. Zentralbl Chir. 1982;107(21):1408-16.

 晩年はビルロートの方がブラームスよりも早く逝去したのですが、ブラームスは最後までビルロートの作曲を世に出すべきであると訴えていました。しかし、ビルロートの妻とブラームスの折り合いが悪く、その夢がかなうことはありませんでした。

<偉人たち>
Ziehl-Neelsen染色の考案者2:Friedrich Carl Adolf Neelsen
Ziehl-Neelsen染色の考案者1:Franz Ziehl
Boerhaave症候群の提唱者:Herman Boerhaave
Pancoast腫瘍の提唱者:Henry Pancoast
Clara細胞の発見者:Max Clara
サコマノ法の考案者:Geno Saccomanno
Mendelson症候群の提唱者:Curtis Lester Mendelson
Hoover徴候の提唱者:Charles Franklin Hoover
Gram染色の発見者:Hans Christian Joachim Gram

Biot呼吸の提唱者:Camille Biot

<音楽と医学>
プロコフィエフの死因は脳出血
ガーシュウィンは多形膠芽腫だった?
バッハの失明の原因は医療ミス?
チャイコフスキーの死因はコレラか自殺か?
モーツァルトの死因は毒殺だったのか?
ラフマニノフはMarfan症候群ではなかったのかもしれない
ショパンの死因は結核ではなかったかもしれない
ベートーヴェンの難聴と肝硬変の原因はワインの飲みすぎによる鉛中毒


by otowelt | 2014-04-30 00:31 | コラム:医学と偉人

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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