何となく研修医に伝えたいこと その4:1日2回は患者さんに会いに行くべし
2014年 07月 12日

私は20歳の頃、椎間板ヘルニアの手術のためにある大学病院に入院したことがあります。術後すぐに坐骨神経痛が改善せずに「手術が失敗したのではないだろか」と不安に思った日々がありました。主治医の先生は朝の外来の前に1回顔を出してくれたのですが、朝のねぼけた頭ではなかなか言いたいことも言えず、夕方にも顔を出してくれたらいいのになぁとワガママなことを思っていました。
そんな経験もあってか、研修医の頃は時間があれば1日2回、3回と患者さんのころに通いました。私は声が低くてちょっとイカツイ印象を与えてしまうことが多いので、なおさらその印象を払拭したいがために患者さんとたくさん話すよう心がけました。いつの間にか、複数回顔を出すことで、細かい情報の取りこぼしが少なくなることに気付きました。
呼吸器疾患の場合、たとえば気管支喘息発作の患者さんが入院してきた場合、血管炎を疑っている場合は別として皮膚診察や神経診察をすることはそこまで多くありません。入院患者さん全員に全身診察をすることは、現実的に不可能でしょう。しかし、「今は女房がいないから言えるけど、実は家族にナイショで別宅にインコを飼っているんですよ」なんていう情報が得られることもあったりして、意外に患者さんのベッドサイドに行くことで得られる追加情報は多いものです。
現在は、さすがに外来や内視鏡の業務や育児をこなしながら入院患者さんのところに複数回顔を出すのは難しくなってきました。それでも顔を出して「調子はどうですか?」と言うだけで、患者さんの満足度は高くなりますよね。お互いのラポールの構築もスムーズにいきます。
研修医の方々は「仕事が終わった、さあ帰ろう」と言う前に、一度患者さんのベッドサイドで時間を作ってあげてはいかがでしょうか。
<何となく研修医に伝えたいこと>
・その1:夕方に指示を出すべからず
・その2:病棟ではあまりタメ口は使うべからず
・その3:患者さんの社会背景や退院後の生活を常に考えるべし
・その4:1日2回は患者さんに会いに行くべし
・その5:ポリファーマシーのクセをつけない
・その6:研修医時代は早めに出勤した方がよい
・その7:クリアカットになりすぎない
・その8:「●●も否定できない」は肯定の理由にはならない
by otowelt
| 2014-07-12 00:49
| コラム:研修医に伝えたいこと