鈍的外傷による遅発性外傷性気胸のリスク因子の検討
2014年 07月 28日

伊坂哲哉ら.
鈍的外傷による遅発性外傷性気胸のリスク因子の検討
日本呼吸器外科学会雑誌Vol. 28 (2014) No. 4 p. 420-426
背景および方法:
鈍的外傷による外傷性気胸の経過観察中もしくはドレナージ療法後に遅発性外傷性気胸(LTP)を発症することが知られている.今回LTPのリスク因子を検討した.2006年11月1日~2012年12月31日に横浜労災病院で治療を行った鈍的外傷による外傷性気胸患者58人,61病変をLTP群と非LTP群に分けて患者背景および臨床背景を比較検討した.今回検討した肺嚢胞とは気腫性肺嚢胞および外傷性肺嚢胞とした.
結果:
胸部CTにて,肺嚢胞は10病変(16.4%)検出された.LTPは7病変(11.5%)で発症した.単変量解析および多変量解析にて肺嚢胞の存在がLTPの独立したリスク因子だった(オッズ比12.2;95%信頼区間、1.1-142.3,p=0.046)。
重症度は全例II 度以上だった.トロッカーカテーテルによるドレナージ療法を行い,5 例は完治したが,2 例は完治が得られず,手術を行った。
結論:
外傷性気胸の気胸側に肺嚢胞を有する場合LTPを念頭に厳密なフォローを要することが考えられた.
by otowelt
| 2014-07-28 00:09
| 救急