
・強力ポステリザン
インタビューフォームによれば、「ポステリザン」の由来はラテン語のposteriori(後方の)とsanare(治癒する)を組み合わせてPosterisanにしたと書かれています。また「強力」の由来は、ヒドロコルチゾンを配合していることからforteの文字を付した、と記載されています。
どうやら海外では「Posterisan® forte」という名前で売られているらしく、forteというのは音楽用語のフォルテ(f)と同じく「強く」という意味です。
このポステリザン軟膏、大腸菌死菌浮遊液が入っています。これが白血球遊走能を高めることによって局所感染防御作用をもたらし、肉芽を形成することから痔に有効であるとされてきました。その後、1950年台に、ドイツのドクトル・カーデ製薬会社において、ポステリザン軟膏にヒドロコルチゾンを配合しました。これまでのポステリザン軟膏にはなかったステロイドを加えることで、飛躍的にその効果を高めたとされています。既存のポステリザン軟膏からグレードアップしたという意味を込めて、「強力」と名がついたそうです。
・強力ネオミノファーゲンシー
まず「ミノファーゲン」の由来ですが、開発者である簑内収氏の名字から「Mino」をとり、貪食作用の「Phagozytose」と合体させて作った言葉のようです。まさか開発者の名前が入ってるとはゆめにも思いませんでした。ミノファーゲン製薬という会社が設立された当初の主力商品だったそうです(現在も主力商品のようですが)。最後の「シー」はアルファベットのCのことらしく、開発順にアルファベットを付加したことに由来します。
さて肝心の「強力」の由来ですが、当初からすでにつけられていたので、その名前の由来を調べてもわかりませんでした。ミノファーゲン→ネオミノファーゲン→強力ネオミノファーゲン。B型、C型肝炎の両方に効くというインパクトの強さをウリにしたため、強力という文字を冠したのでしょうか。
過去に強力モリアミン®Sという薬剤がありましたが、医療事故防止対策に基づき、2008年2月に販売名を強力モリアミン®Sからモリアミン®S注に変更しています。
日本の薬品名の命名にはルールがあります。たとえば、ジェネリック医薬品の名称は一般的名称に剤型、含量及び会社名(屋号等)を付すこととされています。“ロサルタンカリウム錠50mg「日医工」”といった感じですね。一般名には厳しい基準があるのですが、商品名には強い縛りはありません。そのため、各社がある程度“好み”で名前をつける傾向があります。
名前を決めるときには以下のような方法があります(石橋賢一. サイバーキャンパス薬物名由来事典の構築に向けて. を参照)。
1) 一般名より
2) 類似薬より
3) 薬効より
4) 適応疾患より
5) 会社名より
6) 外国で使用されている商品名より
7) イメージ形成を目的として
8) アナグラム:文字の順番を並びかえて別の意味にしてしまう
9) 説明英文の頭文字を並べた言葉