硫化水素の喀痰/血清比はCOPD急性増悪の有用なバイオマーカー
2014年 09月 09日

Saito J, et al.
Sputum-to-serum hydrogen sulfide ratio in COPD
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2013-204868
目的:
硫化水素(H2S)は、平滑筋細胞を含む呼吸器系の細胞から産生される気体であり、ガス伝達物質としての役割を有するとされている。われわれは、血清あるいは喀痰のH2S値がCOPD患者における新規バイオマーカーとして有用かどうか調べた。
方法:
64人の安定したCOPD患者、29人のCOPD急性増悪の患者、13人の健康な喫煙者、21人の健康な非喫煙者において、喀痰および血清のH2S値が硫化物感受性電極を用いて採取された。
結果:
COPD急性増悪の患者における喀痰中H2Sは、安定したCOPD患者や健康な人よりも有意に高かった(p<0.001)。しかし、血清H2S値は、COPD急性増悪の患者において安定したCOPD患者よりも有意に低かった(p<0.001)。ゆえに、H2Sの喀痰/血清比は、COPD急性増悪の患者で有意に高かった(p<0.001)。

急性増悪中とその後にH2S比が測定された14人のCOPD患者において、急性増悪中の方が比の平均値が上昇していた(p<0.05)。H2S比は、SGRQスコア、喀痰中好中球、喀痰・血中IL-6、喀痰・血中IL-8と相関していた(p<0.01)。しかし、喀痰中マクロファージ(%)、1秒量(%予測値)、1秒率とは逆相関していた(p<0.01)。
急性増悪を診断する上でのH2S比のカットオフ値は0.44以上が望ましいだろう (感度93.1%、特異度84.5%)。

結論:
H2Sの喀痰/血清比は、COPD患者において好中球性炎症や急性増悪を示唆する有用なバイオマーカーになるかもしれない。
by otowelt
| 2014-09-09 00:06
| 気管支喘息・COPD