何となく研修医に伝えたいこと その11:他科へのコンサルテーションは目的を明確に
2014年 10月 11日

私も呼吸器内科医として結核や呼吸不全の患者さんの紹介をいただくことがあります。ベテランのドクターであればほとんど身についているスキルなのですが、研修医の方からコンサルテーションをいただくとき、「結局何が言いたいのだろう」と歯がゆい紹介になることがあります。
・研修医の頃の苦い思い出
私が研修医の頃、夜中にSTEMIの患者さんが救急搬送されてきました。糖尿病を有しており、症状が軽かったため、また血液検査でさほどデータが動いていなかったこともあって、どう対応してよいものか悩んでいました。指導医の先生に「じゃあ循環器内科の先生に相談してみようか」と言われ、私は循環器内科のオンコールの先生に電話することにしました。
夜中に叩き起こしてスイマセン・・・。
循環器内科医:「・・・・・はい・・。」
明らかに寝起きの声でした(こちらが叩き起こしたわけですが)。
私:「研修医1年目の倉原と申します。今、少しお時間よろしいでしょうか?」
循環器内科医:「・・・・・はい。」
叩き起こしておいて、「お時間よろしいでしょうか」は絶対ナイな、と今でも思います。
私:「52歳男性です。主訴は胸痛で救急搬送されました。2時間くらい前から間欠的に胸痛が発生し、その後よくならないために救急車を要請したそうです。胸痛は最強を10とすると7くらいです。既往歴としましては、4年前からの2型糖尿病と・・・」
循環器内科医:「ちょっと待って、結局何が言いたい?」
この時点でかなり畏縮してしまった私は、なかばパニック状態でこともあろうに病歴プレゼンテーションを続けてしまいます。
私:「は、はい!えーと、血液検査では白血球は軽度上昇、あれ、いや、ほとんど正常で。トロポニンは・・・あれ、えーと陽性でしたか、あれ、見つからないです。す、すいません!とりあえず心電図をとったらII、III、aVFでSTが上昇しておりまして・・・」
循環器内科医:「わかったわかった、AMIを疑っているんでしょ。とりあえず先生はカテ室をおさえてもらって、この電話は指導医の先生とかわってくれる?」
よくもまあ、こんなコンサルテーションで怒られずに済んだものです。最初から病歴をプレゼンテーションするのではなく、端的に目的を言う必要がありました。すなわち、「AMIを疑っている52歳男性で、PCIが必要かどうか相談させていただきます」と最初から目的を言えばよかったわけです。
・おわりに
デキる研修医1年目の方は私みたいに馬鹿げたコンサルテーションをすることはないと思いますが、それ以降、私は他科にコンサルトする場合には「目的を明確に」ということを心がけるようになりました。コンサルテーションを受ける側としても、やはりその方が診療しやすいです。
<何となく研修医に伝えたいこと>
・その1:夕方に指示を出すべからず
・その2:病棟ではあまりタメ口は使うべからず
・その3:患者さんの社会背景や退院後の生活を常に考えるべし
・その4:1日2回は患者さんに会いに行くべし
・その5:ポリファーマシーのクセをつけない
・その6:研修医時代は早めに出勤した方がよい
・その7:クリアカットになりすぎない
・その8:「●●も否定できない」は肯定の理由にはならない
・その9:処方する前に必ず添付文書をチェックするべし
・その10:医学書は衝動買いしない
by otowelt
| 2014-10-11 00:52
| コラム:研修医に伝えたいこと