患者さんに伝わりにくい医学用語 その1:狭窄(きょうさく)
2014年 10月 23日

患者さんにとって分かりにくい医学用語がたくさんあります。しかし、病状説明の中にその言葉が登場してもその都度質問してこられる患者さんは少なく、理解できない単語として流されることもあります。私たち医療従事者は、普段当然のように使っている言葉が決して慣用的なものではないことを認識しなければなりません。
・狭窄(きょうさく)
医師:「---つまりここの気管支が狭窄しているわけです。」
患者さん:「はあ、キョウサクですか。」
医師:「はい、そうです。そのため気管支をカメラで直接のぞく必要があると思います。」
この会話の場合、狭窄という言葉の意味がわからず、なぜカメラで気管支をのぞく必要があるのか、患者さんは理解できていません。
狭窄は医学用語ではありません。ただし、日本の医療現場では頻繁に使われており、病名や症候にも登場するほどです(大動脈弁狭窄症、視野狭窄など)。狭窄の“狭”はその字の通り、“狭い”という意味です。そして、狭窄の“窄”は“窄(つぼ)む”という意味で、これは細長いものの先が小さくなることを表します。
「気管支が狭窄している」ではなく、「気管支が狭くなっている」と説明する方がよいと思います。もちろん、気管支という言葉もなじみの薄い言葉であるため、気管・気管支・肺の絵を描いて説明した方がよいかもしれませんね。
by otowelt
| 2014-10-23 00:01
| コラム:伝わりにくい医学用語