肺癌が疑わしい患者に対してEBUS-TBNAによる初期診断は治療決定までの期間を短縮する

肺癌が疑わしい患者に対してEBUS-TBNAによる初期診断は治療決定までの期間を短縮する_e0156318_16584987.jpg 最初からEBUS-TBNAをした方がいいのでは?という実臨床に即した論文です。

Neal Navani, et al.
Lung cancer diagnosis and staging with endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration compared with conventional approaches: an open-label, pragmatic, randomised controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, Published Online: 03 February 2015


背景:
 肺癌の診断および病期診断は、治療オプションや疾患予後を推定する重要なプロセスである。われわれは、肺癌を疑われた患者に対する初期の検索として気管支内超音波ガイド下経気管支生検(EBUS-TBNA)についてアセスメントした。

方法:
 このオープンラベル多施設共同ランダム化比較試験において、われわれはCTを行い病期I~IIIAの肺癌を疑われた患者をイギリスの6施設から登録し、ランダムにEBUS-TBNAあるいは通常の気管支鏡を用いて病期診断を進める群に割り付けた。EBUS-TBNAによってリンパ節診断ができない場合、超音波ガイド下の針生検(EUS-FNA)を代替手技として認めた。ランダム化は短径1cm以上の縦隔リンパ節の存在や登録施設によって層別化された。手技的な特性もあって、患者および術者への盲検化はできなかった。プライマリエンドポイントは病期診断手技後から治療決定までの期間とした。解析はintention-to-diagnose。

結果:
 2008年6月10日から2011年7月4日までの間、われわれは133人の患者をランダムにEBUS-TBNA群66人、通常気管支鏡群67人に割り付けた。2人のEBUS-TBNA群の患者がEUS-FNAを実施することになった。治療決定までの期間の中央地はEBUS-TBNA群の方が通常の気管支鏡群よりも短かった(14日; 95%信頼区間14–15 vs. 29日; 95%信頼区間23–35、ハザード比1.98, 95%信頼区間1.39–2.82, p<0.0001)。いずれの群も1人の患者がCTガイド下生検によって気胸になった。

結論:
 治療決定までの期間を短くする意味でも、肺癌を疑われた患者に対して初期の診断手技としてEBUS-TBNAを考慮すべきであろう。


by otowelt | 2015-02-26 00:30 | 気管支鏡

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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