中等症~重症COPDに対するアノーロ®は、単剤治療・フルチカゾン/サルメテロールより優れる

中等症~重症COPDに対するアノーロ®は、単剤治療・フルチカゾン/サルメテロールより優れる_e0156318_1446429.jpg COPDに対するアノーロ®についてはLancet Respiratory Medicineのスタディを知っておけばよいと思います。

アノーロ®エリプタはチオトロピウム単剤、ビランテロール単剤と比較してトラフ1秒量を有意に改善

Gustavo J. Rodrigo, et al.
A SYSTEMATIC REVIEW ON THE EFFICACY AND SAFETY OF A FIXED-DOSE COMBINATION OF UMECLIDINIUM AND VILANTEROL FOR THE TREATMENT OF COPD
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.15-0084


背景:
 COPDガイドラインでは、単剤治療で症状改善がみられない場合に吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)および吸入長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の併用治療が推奨されている。このシステマティックレビューにおいて、LABA/LAMA併用療法のうちウメクリジニウム/ビランテロール(UMEC/VIL:アノーロ®)の気管支拡張効果が有害事象を増加させることなくアウトカムを改善させるだろうという仮説を調べた。

方法:
 これは、UMEC/VILと単剤治療(UMEC、VIL、チオトロピウム)・フルチカゾン/サルメテロールを比較したランダム化プラセボ対照あるいはクロスオーバー研究(>4週間)のシステマティックレビューである。プライマリアウトカムはトラフ1秒量、重篤な有害事象、重篤な心血管イベントとした。

結果:
 11の研究(9609人)の解析によれば、UMEC/VILにはUMEC、VIL、チオトロピウム、フルチカゾン/サルメテロールと比較して呼吸機能の有意な改善がみられた(p <0.0001)。
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(文献より引用:ベースラインからのトラフ1秒量平均差 A:ウメクリジニウム単剤と比較、B:ビランテロールと比較、C:チオトロピウムと比較、D:フルチカゾン/サルメテロールと比較)

 また、UMEC/VILではUMEC、VIL単剤と比較してTDIに対する効果が大きかった。UMEC/VILは、UMEC、VILと比較してCOPD急性増悪のリスクを有意に軽減した。その反面、チオトロピウムとの比較では統計学的に有意な効果は観察されなかった。
 安全性については全群に差はみられなかった。

結論:
 中等症~重症COPDの患者に対する1日1回のUMEC/VIL(アノーロ®)の吸入は、UMEC、VIL、チオトロピウム、フルチカゾン/サルメテロールと比較して優れた効果を示す。


by otowelt | 2015-03-23 00:01 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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