サルコイドーシスの厚生労働省指定難病診断基準は学会基準とどう違うのか?
2015年 04月 06日
・はじめに
厚生労働省の指定難病の1つであるサルコイドーシスの2015年診断基準は、2006年学会診断基準と違いがあるため注意が必要です。
まずは、2006年の日本サルコイドーシス学会誌に掲載されている、サルコイドーシスの診断基準を見てみましょう。2臓器にサルコイドーシスを示唆する肉芽腫がみられれば確定診断になりますが、呼吸器内科の臨床では両側肺門リンパ節腫脹(BHL)のみを呈して、1臓器(肺あるいはリンパ節)から肉芽腫が検出されるケースが多いです。そのため、組織診断群の診断基準では、肺あるいはリンパ節の肉芽腫+BHL+ガリウムシンチ陽性の組み合わせ、肺あるいはリンパ節の肉芽腫+BHL+BAL中リンパ球比率の増加の組み合わせ、といった感じで組織診断群に該当するケースがほとんどです。つまり、2臓器なくても診断ができるという点は臨床的に大きなメリットになります。
1.組織診断群
一臓器に組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,かつ,下記1)~3)のいずれかの所見がみられる場合を組織診断群とする.
1) 他の臓器に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認める.
2) 他の臓器で「サルコイドーシス病変を強く示唆する臨床所見」(診断の手引き参照)がある.
3) 以下の全身反応を示す検査所見6項目中2項目以上を認める.
・両側肺門リンパ節腫脹
・血清ACE活性高値
・ツベルクリン反応陰性
・Gallium-67 citrateシンチグラムにおける著明な集積所見
・気管支肺胞洗浄検査でリンパ球増加またはCD4/CD8比高値
・血清あるいは尿中カルシウム高値
臨床診断群は、肉芽腫が証明されていないケースで、2臓器に間接的な証拠が必要であるため、これも実際のところはぶどう膜炎+BHL+ガリウムシンチ陽性、といったタイプがしばしば該当します。肉芽腫がなくとも臨床診断群は時に該当するワケです。
2.臨床診断群
組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫は証明されていないが,2つ以上の臓器において「サルコイドーシス病変を強く示唆する臨床所見」(診断の手引き参照)に相当する所見があり,かつ,前記に示した全身反応を示す検査所見6項目中2項目以上を認めた場合を臨床診断群とする.
○呼吸器系病変を強く示唆する臨床所見
1)両側肺門リンパ節腫脹(BHL)を認める場合.
2)両側肺門リンパ節腫脹(BHL)は認めないが,表2のいずれかの肺病変所見を認める場合.
1.胸部X線所見
1)上肺野優位でびまん性の分布をとる肺野陰影.粒状影,斑状影が主体
2)気管支血管周囲間質の不規則陰影と肥厚
3)進行すると上肺野を中心に肺野の収縮を伴う線維化病変をきたす
2.CT/HRCT所見
1)肺野陰影は小粒状影,気管支血管周囲間質の肥厚像が多く見られ,局所的な収縮も伴う粒状影はリンパ路に沿って分布することを反映し,小葉中心部にも小葉辺縁部(胸膜,小葉間隔壁,気管支肺動脈に接して)にも見られる
2)結節影,塊状影,均等影も頻度は少ないが見られる.が,胸水はまれである.進行し線維化した病変が定型的な蜂窩肺を示すことは少なく,牽引性気管支拡張を伴う収縮した均等影となることが多い
3.気管支鏡所見
1)網目状毛細血管怒張(network formation)
2)小結節
3)気管支狭窄
さて、2015年の厚生労働省の指定難病の基準では固有に定めたサルコイドーシスの診断基準の「確実」及び「ほぼ確実」を対象としています。実はこの文言をそのまま臨床に適用すると、臓器病変の規定がやや厳しくなってしまったような印象を受けます。2臓器に病変がある、ということがいずれの診断群でも明記されているためです。
① 組織診断群(確実):(A)①、②のいずれかで2つ以上の臓器病変があるかあるいは(A)③の2項目以上が陽性であり、かつ(B)が陽性のもの。
② 臨床診断群(ほぼ確実):(A)①、②のいずれかで2つ以上の臓器病変があり、かつ(A)③の2項目以上が陽性のもの。
(A) 臨床所見・検査所見
① 胸郭内病変
(a) 胸部X 線・CT 所見(両側性肺門縦隔リンパ節腫脹、リンパ路に沿った肺野陰影、気管支・血管束病変、胸膜の変化など)
(b) 肺機能所見(%VC・DLco・PaO2 の低下)
(c) 気管支鏡所見(粘膜下血管のnetwork formation、結節など)
(d) 気管支肺胞洗浄液所見(リンパ球の増加、CD4/8 上昇)
(e) 心電図所見(房室ブロック、心室性不整脈、右脚ブロック、軸偏位、異常Q波など)
(f) 心エコー所見(心室中隔の菲薄化、局所的な左室壁運動異常または形態異常)
(g) ガドリニウム造影MRI所見(心筋の遅延造影所見)
② 胸郭外病変
(a)眼病変 (肉芽腫性前部ぶどう膜炎、隅角結節、網膜血管周囲炎、塊状硝子体混濁など)
(b) 皮膚病変(結節型、局面型、びまん浸潤型、皮下型、瘢痕浸潤、結節性紅斑)
(c) 表在リンパ節病変(無痛性腫脹)
(d) 唾液腺病変(両側性耳下腺腫脹、角結膜乾燥、涙腺病変など)
(e) 神経系病変(脳神経、中枢神経障害など)
(f) 肝病変(肝機能異常、腹腔鏡上の肝表面の小結節など)
(g) 骨病変(手足短骨の骨梁脱落、嚢胞形成など)
(h) 脾病変(脾機能亢進に伴う汎血球減少、脾腫、巨脾など)
(i) 筋病変(腫瘤、筋力低下、萎縮など)
(j) 腎病変(腎機能異常、持続性蛋白尿、高カルシウム血症、結石など)
(k)胃病変(胃壁肥厚、ポリープなど)
③ 検査所見
(a) 両側性肺門リンパ節腫脹
(b) 血清ACE 上昇または血清リゾチーム上昇
(c) 血清可溶性インターロイキン2受容体上昇
(d) 67Ga-citrate シンチグラム集積像陽性(リンパ節、肺など)またはFDG/PET集積像陽性(心など)
(e)気管支肺胞洗浄液のリンパ球増加、CD4/8 上昇
(B) 病理組織学的所見
類上皮細胞からなる乾酪性壊死を伴わない肉芽腫病変
生検部位(リンパ節、経気管支肺生検、気管支壁、皮膚、肝、筋肉、心筋、結膜など)。
※便宜上記号は変更しております。
・指定難病の診断基準はどう変わったか?
「診断基準が厳しくなったの?」というとそういうわけではなく、2006年の日本サルコイドーシス学会誌の1臓器+全身反応による診断に該当する部分が、赤字の部分です。さて重要なのが、全身反応の検査項目が学会基準と解離している点です。将来的に学会基準が厚生労働省の基準と同様のものに変えられるのかどうかは現時点では私は存じ上げません。

表. 2006年学会基準と2015年指定難病基準の全身反応に関する検査所見の違い
よくよく見ると、おおむね同じなのですが、学会基準と比較すると指定難病基準ではツベルクリン反応、カルシウム値に関する記載がありません。PET検査はすでに有用であるという位置づけに定まっていますが(個人的には異論があります)、学会基準と大きく異なるのはs-IL2Rの登場です。
・海外の診断基準はどうか?
UpToDateを見てもわかるように、海外では診断基準はありません。ただ、コンセンサスとして
-臨床的・画像的所見がサルコイドーシスに合致する
-他の類似疾患を除外できている
-組織学的に非乾酪性肉芽腫が同定されている
という3点を満たすことが必要とされています。また、基本的に2臓器以上の非乾酪性肉芽腫の証明、あるいは1臓器の肉芽腫と全身反応を示唆する検査所見があれば診断してもよいと考えられますが、これに関して国際的なステートメントが普及しているわけではありません。日本では特定疾患の申請に際して制度上厳格な基準が必要であるため、国によってバラつきがあるかもしれません。
つまり、日本のサルコイドーシスの診断基準は“社会的”な診断基準であり、感度・特異度が高いポイントを探索した“医学的”な診断基準とは性質を異にします。そのため、診断基準に合致しないからといって目の前の患者さんが「サルコイドーシスではない」と安易に結論づけるのはナンセンスです。その逆も然りでしょう。
・s-IL2R
さて、s-IL2Rが取り上げられていますが、サルコイドーシスの診断にそれほど寄与する検査項目なのでしょうか。CD4陽性細胞が多いため、s-IL2Rは確かにサルコイドーシスにおいて上昇しやすいとされています。47人を登録したCHESTの研究では、その中央値は1068U/mLと報告されています。
Grutters JC, et al. Serum soluble interleukin-2 receptor measurement in patients with sarcoidosis: a clinical evaluation. Chest. 2003 Jul;124(1):186-95.
s-IL2Rはまた肺外サルコイドーシスで上昇しやすいことが知られています。
Gungor S, et al. Conventional markers in determination of activity of sarcoidosis Int Immunopharmacol. 2015 Mar;25(1):174-9.
問題は、悪性リンパ腫など他の疾患でも上昇するため、またこれらの疾患との鑑別が非常に難しいケースが存在することから、特異度は高くないと考えられます。悪性リンパ腫の方が圧倒的に数値が高いために鑑別は容易なのかもしれませんが、2000~3000U/mLあたりの微妙なラインになってしまうこともあるでしょう。
Kita T, et al. Clinical significance of the serum IL-2R level and Ga-67 scan findings in making a differential diagnosis between sarcoidosis and non-Hodgkin's lymphoma. Ann Nucl Med. 2007 Nov;21(9):499-503.
ツベルクリン反応陰性、血清カルシウム値高値に比べてs-IL2Rに優位性があるかどうかは、それぞれの検査項目について比較検討しなければならないため、結論は出ないかもしれません。
厚生労働省の指定難病の1つであるサルコイドーシスの2015年診断基準は、2006年学会診断基準と違いがあるため注意が必要です。
まずは、2006年の日本サルコイドーシス学会誌に掲載されている、サルコイドーシスの診断基準を見てみましょう。2臓器にサルコイドーシスを示唆する肉芽腫がみられれば確定診断になりますが、呼吸器内科の臨床では両側肺門リンパ節腫脹(BHL)のみを呈して、1臓器(肺あるいはリンパ節)から肉芽腫が検出されるケースが多いです。そのため、組織診断群の診断基準では、肺あるいはリンパ節の肉芽腫+BHL+ガリウムシンチ陽性の組み合わせ、肺あるいはリンパ節の肉芽腫+BHL+BAL中リンパ球比率の増加の組み合わせ、といった感じで組織診断群に該当するケースがほとんどです。つまり、2臓器なくても診断ができるという点は臨床的に大きなメリットになります。
1.組織診断群
一臓器に組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,かつ,下記1)~3)のいずれかの所見がみられる場合を組織診断群とする.
1) 他の臓器に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認める.
2) 他の臓器で「サルコイドーシス病変を強く示唆する臨床所見」(診断の手引き参照)がある.
3) 以下の全身反応を示す検査所見6項目中2項目以上を認める.
・両側肺門リンパ節腫脹
・血清ACE活性高値
・ツベルクリン反応陰性
・Gallium-67 citrateシンチグラムにおける著明な集積所見
・気管支肺胞洗浄検査でリンパ球増加またはCD4/CD8比高値
・血清あるいは尿中カルシウム高値
臨床診断群は、肉芽腫が証明されていないケースで、2臓器に間接的な証拠が必要であるため、これも実際のところはぶどう膜炎+BHL+ガリウムシンチ陽性、といったタイプがしばしば該当します。肉芽腫がなくとも臨床診断群は時に該当するワケです。
2.臨床診断群
組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫は証明されていないが,2つ以上の臓器において「サルコイドーシス病変を強く示唆する臨床所見」(診断の手引き参照)に相当する所見があり,かつ,前記に示した全身反応を示す検査所見6項目中2項目以上を認めた場合を臨床診断群とする.
○呼吸器系病変を強く示唆する臨床所見
1)両側肺門リンパ節腫脹(BHL)を認める場合.
2)両側肺門リンパ節腫脹(BHL)は認めないが,表2のいずれかの肺病変所見を認める場合.
1.胸部X線所見
1)上肺野優位でびまん性の分布をとる肺野陰影.粒状影,斑状影が主体
2)気管支血管周囲間質の不規則陰影と肥厚
3)進行すると上肺野を中心に肺野の収縮を伴う線維化病変をきたす
2.CT/HRCT所見
1)肺野陰影は小粒状影,気管支血管周囲間質の肥厚像が多く見られ,局所的な収縮も伴う粒状影はリンパ路に沿って分布することを反映し,小葉中心部にも小葉辺縁部(胸膜,小葉間隔壁,気管支肺動脈に接して)にも見られる
2)結節影,塊状影,均等影も頻度は少ないが見られる.が,胸水はまれである.進行し線維化した病変が定型的な蜂窩肺を示すことは少なく,牽引性気管支拡張を伴う収縮した均等影となることが多い
3.気管支鏡所見
1)網目状毛細血管怒張(network formation)
2)小結節
3)気管支狭窄
さて、2015年の厚生労働省の指定難病の基準では固有に定めたサルコイドーシスの診断基準の「確実」及び「ほぼ確実」を対象としています。実はこの文言をそのまま臨床に適用すると、臓器病変の規定がやや厳しくなってしまったような印象を受けます。2臓器に病変がある、ということがいずれの診断群でも明記されているためです。
① 組織診断群(確実):(A)①、②のいずれかで2つ以上の臓器病変があるかあるいは(A)③の2項目以上が陽性であり、かつ(B)が陽性のもの。
② 臨床診断群(ほぼ確実):(A)①、②のいずれかで2つ以上の臓器病変があり、かつ(A)③の2項目以上が陽性のもの。
(A) 臨床所見・検査所見
① 胸郭内病変
(a) 胸部X 線・CT 所見(両側性肺門縦隔リンパ節腫脹、リンパ路に沿った肺野陰影、気管支・血管束病変、胸膜の変化など)
(b) 肺機能所見(%VC・DLco・PaO2 の低下)
(c) 気管支鏡所見(粘膜下血管のnetwork formation、結節など)
(d) 気管支肺胞洗浄液所見(リンパ球の増加、CD4/8 上昇)
(e) 心電図所見(房室ブロック、心室性不整脈、右脚ブロック、軸偏位、異常Q波など)
(f) 心エコー所見(心室中隔の菲薄化、局所的な左室壁運動異常または形態異常)
(g) ガドリニウム造影MRI所見(心筋の遅延造影所見)
② 胸郭外病変
(a)眼病変 (肉芽腫性前部ぶどう膜炎、隅角結節、網膜血管周囲炎、塊状硝子体混濁など)
(b) 皮膚病変(結節型、局面型、びまん浸潤型、皮下型、瘢痕浸潤、結節性紅斑)
(c) 表在リンパ節病変(無痛性腫脹)
(d) 唾液腺病変(両側性耳下腺腫脹、角結膜乾燥、涙腺病変など)
(e) 神経系病変(脳神経、中枢神経障害など)
(f) 肝病変(肝機能異常、腹腔鏡上の肝表面の小結節など)
(g) 骨病変(手足短骨の骨梁脱落、嚢胞形成など)
(h) 脾病変(脾機能亢進に伴う汎血球減少、脾腫、巨脾など)
(i) 筋病変(腫瘤、筋力低下、萎縮など)
(j) 腎病変(腎機能異常、持続性蛋白尿、高カルシウム血症、結石など)
(k)胃病変(胃壁肥厚、ポリープなど)
③ 検査所見
(a) 両側性肺門リンパ節腫脹
(b) 血清ACE 上昇または血清リゾチーム上昇
(c) 血清可溶性インターロイキン2受容体上昇
(d) 67Ga-citrate シンチグラム集積像陽性(リンパ節、肺など)またはFDG/PET集積像陽性(心など)
(e)気管支肺胞洗浄液のリンパ球増加、CD4/8 上昇
(B) 病理組織学的所見
類上皮細胞からなる乾酪性壊死を伴わない肉芽腫病変
生検部位(リンパ節、経気管支肺生検、気管支壁、皮膚、肝、筋肉、心筋、結膜など)。
※便宜上記号は変更しております。
・指定難病の診断基準はどう変わったか?
「診断基準が厳しくなったの?」というとそういうわけではなく、2006年の日本サルコイドーシス学会誌の1臓器+全身反応による診断に該当する部分が、赤字の部分です。さて重要なのが、全身反応の検査項目が学会基準と解離している点です。将来的に学会基準が厚生労働省の基準と同様のものに変えられるのかどうかは現時点では私は存じ上げません。

よくよく見ると、おおむね同じなのですが、学会基準と比較すると指定難病基準ではツベルクリン反応、カルシウム値に関する記載がありません。PET検査はすでに有用であるという位置づけに定まっていますが(個人的には異論があります)、学会基準と大きく異なるのはs-IL2Rの登場です。
・海外の診断基準はどうか?
UpToDateを見てもわかるように、海外では診断基準はありません。ただ、コンセンサスとして
-臨床的・画像的所見がサルコイドーシスに合致する
-他の類似疾患を除外できている
-組織学的に非乾酪性肉芽腫が同定されている
という3点を満たすことが必要とされています。また、基本的に2臓器以上の非乾酪性肉芽腫の証明、あるいは1臓器の肉芽腫と全身反応を示唆する検査所見があれば診断してもよいと考えられますが、これに関して国際的なステートメントが普及しているわけではありません。日本では特定疾患の申請に際して制度上厳格な基準が必要であるため、国によってバラつきがあるかもしれません。
つまり、日本のサルコイドーシスの診断基準は“社会的”な診断基準であり、感度・特異度が高いポイントを探索した“医学的”な診断基準とは性質を異にします。そのため、診断基準に合致しないからといって目の前の患者さんが「サルコイドーシスではない」と安易に結論づけるのはナンセンスです。その逆も然りでしょう。
・s-IL2R
さて、s-IL2Rが取り上げられていますが、サルコイドーシスの診断にそれほど寄与する検査項目なのでしょうか。CD4陽性細胞が多いため、s-IL2Rは確かにサルコイドーシスにおいて上昇しやすいとされています。47人を登録したCHESTの研究では、その中央値は1068U/mLと報告されています。
Grutters JC, et al. Serum soluble interleukin-2 receptor measurement in patients with sarcoidosis: a clinical evaluation. Chest. 2003 Jul;124(1):186-95.
s-IL2Rはまた肺外サルコイドーシスで上昇しやすいことが知られています。
Gungor S, et al. Conventional markers in determination of activity of sarcoidosis Int Immunopharmacol. 2015 Mar;25(1):174-9.
問題は、悪性リンパ腫など他の疾患でも上昇するため、またこれらの疾患との鑑別が非常に難しいケースが存在することから、特異度は高くないと考えられます。悪性リンパ腫の方が圧倒的に数値が高いために鑑別は容易なのかもしれませんが、2000~3000U/mLあたりの微妙なラインになってしまうこともあるでしょう。
Kita T, et al. Clinical significance of the serum IL-2R level and Ga-67 scan findings in making a differential diagnosis between sarcoidosis and non-Hodgkin's lymphoma. Ann Nucl Med. 2007 Nov;21(9):499-503.
ツベルクリン反応陰性、血清カルシウム値高値に比べてs-IL2Rに優位性があるかどうかは、それぞれの検査項目について比較検討しなければならないため、結論は出ないかもしれません。
by otowelt
| 2015-04-06 00:03
| サルコイドーシス