成人重症患者に対して新鮮赤血球を輸血してもアウトカムは不変
2015年 04月 27日

Jacques Lacroix, et al.
Age of Transfused Blood in Critically Ill Adults
N Engl J Med 2015; 372:1410-1418
背景:
重症患者の輸血に新鮮赤血球を使用することで、長期保存に由来する細胞変性毒性や生物活性物質蓄積リスクは最低限に抑えられる。また、輸血による酸素供給能が向上し、アウトカムが改善する可能性がある。
方法:
この多施設共同ランダム化化盲検試験において、成人重症患者を保存期間8日未満の新鮮赤血球輸血群と、標準的輸血群(血液バンク保存赤血球のうちもっとも古いもの)にランダムに割り付けた。プリイマリアウトカムは90日死亡率。
結果:
2009年3月から2014年5月までの間、カナダとヨーロッパの64施設において合計1211人を新鮮輸血群に、1219人を標準的輸血群にランダムに割り付けた。赤血球の平均保存期間は、新鮮輸血群で6.1±4.9 日、標準的輸血群で22.0±8.4 日だった(P<0.001)。90日時点で新鮮輸血群の448人(37.0%)と、標準輸血群の430人(35.3%)が死亡した(リスク差絶対値1.7%ポイント、95%信頼区間-2.1~5.5)。生存解析では、標準輸血群と比較した新鮮輸血群における死亡ハザード比は1.1(95%信頼区間0.9~1.2)だった(P=0.38)。
結論:
本研究における成人重症患者では、新鮮赤血球を輸血しても、標準的に供給される赤血球を輸血した場合と比べて90日死亡率は低下しなかった。
by otowelt
| 2015-04-27 00:13
| 内科一般